いかに会社に収益をもたらすか。

プロジェクトのメンバーも集まり、小野さんは、いよいよ本格的にモノづくりを始めることになりました。ですが、その前に、そのプロジェクトをどういうかたちで会社の収益につなげるか、ということも当然考えなければなりません。プロジェクトを進める上での戦略的な思考とは? 話題の書籍『会社を使い倒せ!』から〈STAGE2 会社を使って、やりたいことを実現する。〉編の第5回をお届けします。

いかに会社に収益をもたらすか。

 ところで、博報堂でモノづくりをする、と一口にいっても、どういうかたちでそれを会社の収益につなげるか、ということも考えなければなりません。

 僕は、それにはいくつかのパターンが考えられると思いました。


  ①博報堂が自社事業としてやる。

  ②会社同士で出資し、共同事業としてやる。

  ③企画・コンサルティングでフィーをもらう。


 僕は、これを全部試したいと思いました。

 実は、役員に対してプレゼンテーションしたとき、すでにこの話もしていました。

 自社事業モデルか、共同事業モデルか、フィーモデルか。

 それは、どうして博報堂がやるのか、を考えたとき、自然に出てきたことでした。


 どうして僕がやりたいのか。

 これは、僕がやりたいからで理由は必要ありません。

 では、どうして博報堂がやるのか。

 これに答えられないと、博報堂で僕がやる意味がなくなってしまうのです。

 だから、このふたつの間のいいところを見つけるのが、会社のためだし、世の中のためだし、自分のためだと思いました。

 ここで「自分」という視点が入ってくるのが、僕の我の強いところなのですが、「自分がやりたくないことはやらない」というのは前提としてありました。

 極端な例ですが、いくら儲かるからってミサイルはつくりたくない。

 単に儲かるからという理由で何にでも手を出す、という事態にはしたくなかったのです。

 では、どうやったら自分がやりたいことがやれる環境がつくれるか、というとき、会社がやりたくなれば、いちばんいいわけです。

 そのためには、なぜ博報堂がモノづくりをやるべきなのか、そのストーリーをつくる必要がありました。


めざすビジネス領域を見定める。

 そこで、博報堂のビジネスを事業領域と収益構造のふたつの軸で考えました。

 事業領域でいえば、これまでやってきた広告領域なのか、それとも広告以外の領域なのか。

 そして、収益構造でいえば、広告制作やコンサルティングなどの労働集約型のビジネスなのか、テレビCMなどの広告枠を販売するメディア販売のような労働集約型ではないビジネスなのか。

 それを示したのが、下の図です。



monomがめざすべきビジネス領域はどこか。


 一般的な広告領域で考えると、広告の企画・制作やメディア販売は、広告ビジネスの好不調に左右されます。

 僕が博報堂に入社した当時から広告は過渡期だと言われ、従来のメディア依存のビジネス構造から脱却しなければならないという論調をよく聞いていたこともあり、僕としては博報堂としても従来の広告領域の外に積極的に出ていくべきだと感じていました。

 一方、広告以外の領域は、コンサルティングの領域を広げていけばビジネスは伸びていくかもしれません。

 その代わり、人に依存する労働集約型なので、スケーラビリティがありません。人を増やしていくという選択肢しかないのです。

 そうなると、広告領域でもなく労働集約型でもない領域を狙っていくというのが博報堂がやるべきことなのではないかと考えました。

 そして、monomは、広告領域で培ったクリエイティビティやマーケティングの知見を活用してモノづくりを行い、先に示した図の、右下の領域で博報堂の新しい事業開発にチャレンジするというストーリーを描きました。

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会社を使い倒せ! (ShoPro Books)

小野 直紀
小学館集英社プロダクション
2018-12-20

この連載について

初回を読む
会社を使い倒せ!

小野直紀

会社で「自分のやりたいことができない」と感じたら、どうしますか? 広告会社の博報堂に勤めながら「モノづくりをしたい」と考えた小野直紀さんは、辞めて転職するのでも、起業するのでもなく、あえて会社に残ることで、人・資金・ネットワークなど、...もっと読む

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shigekey "広告領域でもなく労働集約型でもない領域を狙っていくというのが博報堂がやるべきことなのではないか"|小野直紀 @ononaoki | 約1ヶ月前 replyretweetfavorite