新井さん、なんで覚えてないの!?

三省堂書店のカリスマ書店員・新井見枝香さんが好きなゲストをお迎えして打ち合わせ一切なしのゆるいトークを繰り広げるイベント「新井ナイト」。2019年2月15日におこなわれた新井ナイトのゲストは、パパ友どうしの禁断の恋を描いた『東京パパ友ラブストーリー』を上梓したばかりの樋口毅宏さん。実は、新井さんと樋口さんは8年来のお付き合い。おふたりの気の合ったトークの模様を3回にわたってお届けします。

すいません、だらだらだともう始めてます

樋口毅宏(以下、樋口) (会場の端で遊ぶ樋口さんの3歳の息子、かずふみ君を指して)いまね、ジュース1本飲んできたからおとなしい。新井さん、ここでいつも「新井ナイト」のイベントやってるんだ。今まで何回やったの?

新井見枝香(以下、新井) 2回。1回目は私がゲストで、塩見さん(担当編集)がお相手。2回目のゲストは手相占い師でコミックエッセイ作家の卯野たまごさん。私の手相を見つつ……。卯野さんはホンモノ。

樋口 何言われたの。

新井 あんま覚えてない。あ、そうだ。私、いろんな人に占いしてもらうんだけどさ、当たってなくても「あ、すごい」とか言ってあげるんだけど、卯野たまごは「おおっー」ってなった。自分そのものを見られたというか。

樋口 そのときどっちの手を見た?

新井 左手が今までで、右手がこれから。

樋口 そういうものなの? へえーっ。(お客さんに)すいません、だらだらともう始めてますけど。みなさん、寒い中ありがとうございます。

新井 これからの運気とてもいいって言われた。あと、お金が貯まらないって。

樋口 入ってきたお金は食事代にいくのか(※新井さんは細いのに大食いです)。

8年前に出会った2人

樋口 えーっと、みなさんきょうはお集まり頂きましてありがとうございます。樋口毅宏です。こちらはホストの新井見枝香さんです。ホストっぽい格好してるじゃない。

新井 最近普段からこんな感じだよ。

樋口 そうなんだ。えーっと、僕と新井さんの出会いは、確か2010年の末に僕が3作目の『民宿雪国』を出して、年が明けてちょっと話題になり出して。その頃僕はツイッターをやっていて、当時三省堂有楽町店のツイッターがやたら面白くて、『民宿雪国』のことを取り上げてくれていました。お店の公式だから新井さんの名前は出ていない。「じゃあ今度お店に伺いますね」って言って2、3度すれ違いがあったけど、ようやくお店で会えた。ちょうど8年ぐらい前。

新井 まだバイトだな。

樋口 なのに、新井さんはあっという間に三省堂有楽町店の有名人になっていった。ツイッターだって新井さんが店長に言って始めさせてもらったんだよね。お店に行くたび、新井色が溢れているの。覚えてる? 4つ折りで手書きの新井新聞的なものを作っていたの。僕よく作ってもらった。『雑司ヶ谷RIP』のとか。きょう持ってくればよかったー!


新井さんによる手書きの「雑司ヶ谷新聞」1号


「雑司ヶ谷新聞」第2号


樋口さんが小豆島を舞台にした小説『二十五の瞳』を刊行したときにも、新井さんは「小豆島新聞」を発行。
当時のお2人のトークはこちらからご覧いただけます。

樋口 話していくうち思い出してきたよ。きょうもまったく打ち合わせしてないし。前にメールして「NGある?」って聞いたら「ない」ってそれで終わっちゃったから。そうだ、当時僕も独身だったから、仲いい人を集めて合コンもしましたよね?

新井 しましたね(照)。

(ここでかずふみ君乱入)

樋口 すいません。きょうは妻(三輪記子さん、弁護士)が大阪に前日入りしているので連れてきちゃいました。どうした? よかったね、いいおもちゃをもらったね。パパに見せたかったんだね。あっちで奥村さん(『東京パパ友ラブストーリー』担当編集)と遊んでてもらえるかな?

初めて新井さんにお仕事を頼んだのは僕

樋口 で、新井さんはバイトなんだけど、僕は新刊を出すたび、いや出さなくても、店に顔を出すたびサインをさせてもらって。


『テロルのすべて』の刊行時、サインして自ら書棚に並べる樋口さん。

全部彼女の裁量で決まっていた。店長も「新井の好きなようにさせよう」って感じ。店内治外法権。
何年まで有楽町店だったっけ?

新井 覚えてない。

樋口 お店でサインしながらいつもバカ話をして、「なんてこの人面白いんだろう」って。

以下、樋口さんがサインをするたびに、新井さんがアップしたツイートの数々。

樋口 「いったいどんな人生を送ってきたの?」って新井さんに聞いたら、音大に通っていたことがあって、池袋駅前の31アイスクリームで働いていたこともあったとか言って。あそこ超古いよ。俺がおじいちゃんに買ってもらってたから40年ぐらい前からあるよ?

新井 え、違うよ。私がオープニングスタッフだもん。

樋口 あれ別か。そうだよなあ、微妙に店の位置が違うよね。むかしはタカセの並びにあったの。だから今も池袋行っても31に気づかないのか。
 で、それはともかく。「新井さん面白え~」ってなって、それで僕の2作目の『日本のセックス』の3刷目のオビラーを、あなたにお願いしたんですよ。
 いまでこそ新井賞を主宰し、あちこちの出版社からオビラーやエッセイの仕事をたくさん頼まれる、いちばん勢いのある人気書店員のあなたですが、初めてお仕事を頼んだのは僕なんですよ。

新井 そうだっけ。

樋口 なんでさっきから全部覚えてないの! 何て書いたか覚えてる? きょうはそれ写メってきた。新井さん読む? じゃあ俺が。

「な、なんかヘンな気分になっちゃった……。でも、それだけなら私、ここまでこの本、愛してない。三省堂書店有楽町店 新井見枝香」


新井さんが推薦文を書いた『日本のセックス』

新井 ひどいな。でも読んでるとほんとにヘンな気持ちになっちゃうんだよ。それだけじゃないけど。

樋口 自分の妻を、あるいはパートナーを他の男に抱かせることによって最高の性的興奮を得る、カンダウリズムの人たちの物語だからね……。あ、そこ帰らないで下さいね!

(中編に続く)

中編彼氏の浮気相手が男だったら女よりショック?は4/1更新。お楽しみに!


“本屋の新井”による、本屋あんまり関係ないエッセイ。


この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ

ミソジニー、嫉妬、仕事ができない焦り、不公平感……ゴーギャンになりきれなかった男たちの思いが炸裂し、疾走する!


東京パパ友ラブストーリー


この連載について

樋口毅宏×新井見枝香—打ち合わせ一切なしの体当たりトークイベント

新井見枝香 /樋口毅宏

三省堂書店のカリスマ書店員・新井見枝香さんが好きなゲストをお迎えして打ち合わせ一切なしのゆるいトークを繰り広げるイベント「新井ナイト」。2019年2月15日におこなわれた新井ナイトのゲストは、パパ友どうしの禁断の恋を描いた『東京パパ友...もっと読む

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honya_arai ひぐぴーTwitterないから俺が宣伝すんのか! ↓ #東京パパ友ラブストーリー #本屋の新井 約2ヶ月前 replyretweetfavorite