※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。
「家」
という一文字に、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。
ただいま、ってほっとする?
それとも……
今回ご紹介するのは、「自立して家を出ていけるよう進路を選びましたが、私は女。実家に引き戻されるのでは」と思っていらっしゃる方からのご投稿です。対話形式で、一緒に考えていきたいと思います。
はじめまして、牧村さん。
いつも記事を楽しく、興味深く読ませて頂いています!
はじめまして牧村さんよ~。ありがとうございます!
わたしも、読者の方からのご投稿、掲載しきれていない分も含めて興味深く拝読しています。
今回は、どうなさったの?
私は日本でも男尊女卑(特に長男は王様)の地域で生活しています。まあ、この日本では男尊女卑の大差なんて無いのかもしれません…。
男尊女卑ね。
というとすぐ、「いやいや女尊男卑だ!」とか「日本は美しい国!家族の絆!!」とかってかぶせたくなる方もおられると想像しますが、わたしは何か言う前にまず聞きたいと思います。同じ日本にいたってみんな違うからね、生きてる人生も、見えてる景色も。
具体的にはどういう状況を男尊女卑だとおっしゃるの。
共働きしながら女性が家事とワンオペ育児、夫の世話に義理実家に尽くすことは当たり前です。実際に母もそうしていました。離婚率も高く、結婚していない女性・離婚した女性は自分の親の面倒を見る義務が自然に発生します。
あー。
日本のことわざでいう、「女、三界に家なし」ってやつね。
生まれたら父に、嫁いだら“主人”に、老いたら息子に従え、と。女はいつも「三歩後ろ」を歩くことになっていて、家の女と書いて「嫁」、離婚とはつまり親の元に「出戻り」ってことでしょとみなされる……という。
そのような場所に生まれて、どのように生きたいと思っていらっしゃるの。生まれた場所はともかくとして、あなた個人の生きたい道は。
私は幼い頃から周りの夫婦を見て結婚願望が0なのですが、両親の面倒(特に父)を見る将来に絶望しています。
絶望。
そんなまた。
まだ来ていない将来に絶望なさらなくても。
どうして?
幼い頃から家庭より自分が親戚に良い顔するのを優先していた父で、高校生の頃に父の浮気を私が発見して以来もう父が受け付けられず、看護学校を卒業して早く家を出る日を夢見ています。
うん、出よう!
よかった。
希望、あったのね。
レッツ勉学~~~。
しかし最近、叔母から「どうせあんたが親の面倒見るんだよ~(笑)お兄ちゃんも結婚しないだろうから、その面倒も見るんだよ~(笑)」と言われています。
叔母には「私は絶対に誰の面倒も見ない!」と反論していますが、実際に叔母自身がそういう立場であり、私たちの周りにも未婚で両親+男兄弟の面倒を見ている女性が結構います。
もうどうしたら良いのでしょうか。少しでも女が一人でも生きていけるよう進路を選びました。
だけど、女に生まれてしまったから、誰かに尽くして消費される将来しかないのでしょうか…。
質問というより愚痴ですみません。読んでいただきありがとうございました。これからも牧村さんを応援しています!
こちらこそ、お話くださってありがとうございます。
「どうせあんたが親の面倒見るんだよ~(笑)」の、叔母さま。
そして、お父さま。
闘志をありがとうございま~す♡って、わたしだったら思っちゃうな。
マジカル闘志がわいてくるわよ。その「どうせあんたが親の面倒見るんだよ~(笑)」みたいなやつ、年上の女から年下の女への圧、あれ、「呪い(のろい)」って言われることあるでしょ。
でもね、「呪い(まじない)」効果だって持つと思うのよ。
椎名林檎も歌ってるじゃない。女の子は誰でも魔法使いに向いてる、って。
「どうせあんたが親の面倒見るんだよ~(笑)」って召喚された言霊を、呪い(のろい)として受けてしまえば、「そうだ……女に生まれちゃったんだ!」ってなると思う。けど、呪い(まじない)にだってできるのよ。その証拠に、おかげで出せたでしょ、「私は絶対に誰の面倒も見ない!」っていう強い宣言が。
わたしだったらもう、「叔母さんはあえて悪役を演じてくれたんだわ」とすら思っちゃうと思う。「わたしに言わせてくれたんだ、引き出してくれたんだ!」って。本当かどうかはどうでもよくて、ただ、そう考えた方が楽じゃない。
それが、呪い(のろい)を、呪い(まじない)に変える力。世代間の対立ではなく、「どうせ繰り返しちゃうのよって年上の女性が苦しんできたこれをわたしは断ち切ってみせるっ!」っていう連帯の中に自分を置く魔法です。魔法少女おれたち~☆
ちゃんと聞いてた?
あなたは、あなたの言葉。
相手が聞いてくれなくったって、あなたは、あなたの言葉をちゃんと聞いていてね。
どこに生まれても。
どう生まれても。
どう生きるかは、あなた自身が決めることです。
いやしかし、かばうように聞こえたら悪いんだけどね、かばいはしないんだけどさ、
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。