書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
何で締めるか
お酒の話題の定番に「何で締めるか」問題がありますね。
現状、個人的な結論は出ていて、「締めない」がそれです。 酒の味を知ってからこれまでずっと、とにかくダラダラなるべく長く飲んでいたい、酔っ払った愉快な気持ちをキープしたいというスタンスをとっているので、「さて、このへんで何か締めを食べて寝るか」とはならない。ご飯もので締めるくらいなら、なるべく体積が少なく塩気の効いたもの、少し醤油をつけた海苔とかそういうものをつまみに、ギリギリまで飲んでいたい。己から湧き上がる欲望に忠実に行動すると、そういうことになります。
というわけで、飲みの席で酒の締め問題が話題に出た場合などは、例えばプロ野球の話を聞いているときなどと同様、決して何も語らず、たまににっこりとほほえんでうなずき、酒を飲む、という姿勢で臨むようにしています。
たいがいの店の一人前が多すぎる
スズキナオさんとの付き合いも長くなりますが、彼ほどおだやかで、他人の悪口を言わず、酒を飲んでも常にポジティブな酔い方をする友達は他にいません。ナオさんの内心は知る由もないですが、比べると自分はずっと俗物的で、飲みかた酔いかたも下賎で、それを受け止める度量があるからこそ、酒の穴なんていう酔狂なユニットが存続しているといっても過言ではありません。
ただし、たったひとつだけナオさんに対し、釈然としない気持ちを抱くこともあります。 それは、僕のことを「大食漢キャラクター」という前提で接してくる場面。
まだの方はぜひ、ナオさんの前回のコラム「酒場のおつまみシェア問題 『一口ください』はどこまでOKか?」を読んでみてください。最近めっきり食が細くなり、唐揚げひとつ、お刺身2切れくらいでけっこうお腹がいっぱいになってしまう、というようなことが書かれています。どんだけ~、と思う方も多いかもしれませんが、実は僕も同じで、とにかく量が食えない。最低でも数種類のおつまみを紹介しなければ魅力が伝わらないような酒場取材など、あれこれ頼んで残すわけにもいかないし、割といつも苦労します。 昼ご飯を外で済ませようとしても、たいがいの店の一人前が多すぎて、満腹以上になってしまう。立ち食いそば屋なんかへ行くと、天丼やカツ丼とそばのセットをもりもり食べているサラリーマンがけっこういます。個人的な予想なんですが、食べられる量、つまり生きていくために必要な馬力って、身長とも関係が深いような気がしていて、僕はそんなに背が高いほうではなく、そういうもりもり系の方々は、総じてでかい。それを別世界の光景のように見上げながらかけそばをすすっているのが、自分の日常というわけです。
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