モテるために覚えた肉じゃが、離乳食になる。

父親になるってどういうこと? ググっても答えが出ないから書いてみた。ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)による子育て実況連載、第23回。我が子に肉じゃがをふるまいたい。しかし自炊をしていた頃とは勝手が違い、新たな発見がありました。

「肉じゃが作れる男はモテるよ」という大変貴重なアドバイスをいただいたのは、一人暮らしデビューを間近に控えた18歳の夜のことだった。

「高校生の赤裸々日記!」的に、銀杏BOYZからメロディとカタルシスを抜いたようなホームページを運営していたおれに、常連さんである“東京のお姉さん”のひとりが教えてくれた助言。童貞はそれを聞いて青白く燃え、西荻窪のワンルームマンションに到着してまず肉じゃがを作った。ニンジンが固かった。

それから20年近くが経過し、肉じゃがのみならず調味料のさしすせそを駆使した醤油味のいくつかを作れるようになって久しい。だが、振り返ってみた記憶は誰かに泣かされたことのほうが多いので、モテるだなんてまあ普通に冗談だったよなと思う。あの女性もとっくに東京出て今は離島でコミューン築いてる。

しかしながら、私はそんな雑な啓示に踊らされたことに不満はない。というのも、料理を通じて自分の気持ちを表わせたシーンが何度かあったからだ。身近な誰かが体調を崩したときに胃に優しいものを作れたり、何か記念して手間ひまをかけたごちそうを出せたり。あと海外の安宿で「THIS IS!」と振る舞えたときなんかは、言葉だけでなく自分のコミュニケーション能力のなさを補えた気がしている。翻弄されがちな我が人生に悔いなし。

そんな自炊おじさんは今、子供がいて妻と育てに専念している。男児はすくすくと成長を続け、食欲も旺盛である。離乳食だって半年前のスタート時はデンプンのりのようだったのに、少しずつ量と質のアップグレードが続き、この冬の終わりにはフレンチトーストを手づかみで食べるわ、しらすをそのまま口に運ぶわと実に頼もしくなっている。朝昼晩3回きちんと召し上がり、最近は朝イチ&ラストでマストだったおっぱいすらご不要でいらっしゃって……半年くらいしたら彼は社会に出てんじゃないかとすら思う。

成長とともにしっかりしていくアレルギー耐性に合わせるべく、この半年は食材は妻が日々計画的にコントロールしてきた。そして大体のものはいける感じっすねとわかってきたこの頃、気まぐれにレシピ本をパラパラ読んでいたら、あるじゃん「肉じゃが」の文字。離乳食で肉じゃが作れるのか。

作りてえ。

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こうしておれは父になる(のか)

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「今にこの子は「パパ」としゃべるだろう。そのとき自分は、何としてきみを抱きしめたらよいか、再び考えてみよう」――ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)がはじめての子育てを実況! 父親目線で見...もっと読む

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コメント

douseidoumei 育児を「子供の成長を間近で見ながら、視聴者である自分もめちゃくちゃ育つ超参加型プロジェクト」って捉えてるのが素敵だhttps://t.co/jLPCRcl5Fe 8ヶ月前 replyretweetfavorite

biftech 自炊イコール上京みたいな気持ちだったので、離乳食を作るということはものすごくスペシャルなお気持ち。連載更新です。 8ヶ月前 replyretweetfavorite