書籍化しました!
“よむ”お酒(イースト・プレス)
本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ
一口ずつ食べるというスタイルがむしろ理想
最近めっきり小食になってきて、唐揚げ一個食べたら結構お腹がいっぱいになる。サービスの良い店でお刺身を頼んだ時など「うわ!このお刺身の厚み、すごいなー!」と喜びはするけど、実は2切れぐらいでもう満足である。
そんな状態であっても、何人かで一緒に飲みに行ってみんなが頼んだおつまみが美味しそうだったら一口もらいたいという浅ましさはある。というか、どんな料理も一口ずつ食べるというスタイルがむしろ理想なのだ。その点では、複数のメンバーで行く居酒屋は色々食べられる格好のチャンスと言えよう。
自分一人で行ったら「ほうれん草のおひたし」「なめこおろし」みたいなもので満足してしまうところ、他の人が頼む「地鶏チーズ焼き」とか「揚げ餃子」なども食べられるんだからこれは嬉しい。しかもお腹いっぱいだったら手を出さないという自由もある。わがまま放題である。
おでんの玉子、分けるか分けないか問題
ただ、居酒屋を愛する人ならお分かりかと思うが、おつまみによって分けやすいもの、分けにくいものがある。例えば私はおでんが大好きで、メニューにあればとりあえずどんな状況であれ食べておきたいと思っているのだが、そのおでんの玉子はどうだ。
二人で飲んでいたとして、あれを箸で割ると、大小に明らかな差がでる。さらに、大小に加えて黄身の含有率も要素として入ってくるので複雑だ。そもそも大きくて黄身が入っている方が当たり、と必ずしも決まっているわけではない。白身多めの方が好きという人にとっては、そっちの方が当たりだろう。
いや、そのさらに前段階の話として、おでんの玉子を割ると黄身が崩れて結構ごちゃっとした見た目になってしまうのだ。一緒に飲んでいる相手が「お前が箸で割った玉子、俺いらねえし」と思っていないとも限らない。
あと、箸で玉子を割るっていうのもなかなかに難しい行為で、力のかけ場所を間違うとプリンッと皿から飛んでいくこともあり得る。ひょっとして玉子を横に割るのではなく縦に割ったらどうだろうと今思ったけど、それも玉子がコースアウトするリスクが大きそうだ。
これだけの多面性を持っているおでんの玉子を、それでもあなたは分けますか?という話である。しかもこれ、まだ二人でのシェアを想定しているから成り立っているけど、3人で玉子一個を分けることなんて物理的に可能なのか?
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