鶏のポテンシャルを100%引き出したプロスタイルの唐揚げ

43回目のテーマは『鶏の唐揚げ』。ジューシーに仕上げるための酒、カリッと仕上げるための片栗粉と二度揚げなど、おいしくつくる秘訣を紹介します。少しコストをかければ、家庭でもプロスタイルの唐揚げをつくることができます。

大人から子供まで幅広く愛されるメニューの『鶏の唐揚げ』。どんな風に揚げてもおいしいメニューですが、下味の配合や粉の選択、揚げ方など様々な作り方があります。1月に刊行された僕の料理本『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)にもベーシックなレシピを掲載していますが、それは「家庭的な唐揚げ」の作り方でした。

家庭的な唐揚げとプロの唐揚げの違いはなんでしょうか? まず家庭の唐揚げに求められるのは子供から大人まで受け入れられる〈やわらかな食感〉と〈冷めてもおいしいこと〉。家庭では食事時間がずれることもままあり、できたてを提供できないこともあるので、おいしさを長持ちさせる必要があります。
この課題を解決するには〈下味に水分を入れること〉と〈粉を2種類〉使うことです。このスタイルでつくった唐揚げはお弁当にもオススメ。

一方のプロの唐揚げに求められる要素は肉の持ち味を100%生かすこと。もちろん、表面はカリッとクリスピーでなければいけません。今回は鶏のポテンシャルを100%引き出したプロスタイルの唐揚げをご紹介します。

それではまず家庭的な唐揚げの作り方から。


家庭的な唐揚げ

材料(2人前)

鶏もも肉…280g〜300gくらい(1枚)

醤油…大さじ2
酒…大さじ2
にんにく…1/2片(すりおろす)
小麦粉…35g
片栗粉…適量

揚げ油…適量

作り方

1.鶏もも肉は1口大(2.5cm〜3cm角)に切る。(Tips1 一口大とは?


2.切った鶏もも肉が入ったボウルに、醤油、酒、にんにくのすりおろし少量を入れ、軽く混ぜる。(Tips2 下味に酒を使ってジューシーに)


3.2のボウルに小麦粉を入れて、さっくりと混ぜる*)。フライパンに高さ1cm〜1.5cmくらいに植物油を注ぎ、中火にかけて揚げ油とする。
*料理用語で小麦粉と水分を混ぜ合わせるときは<さっくりと混ぜる>という表現を使います。これは混ぜすぎないようにざっと混ぜるという指示です。粉類を扱う際には多出するので憶えておきましょう


4.鶏肉の表面に片栗粉をまぶし、フライパンに入れていく(Tips3 小麦粉と片栗粉)。温度は泡が立つくらい(130〜140℃*)で、中火のまま、2分間加熱する。表面が固まるまでは触らないこと。
*濡らしてから水気をふき取った菜箸を油にしずめ、箸先から細かい泡が立つくらいの温度


5.裏返して火を弱火に落とし、1分間、加熱する。表面が固まったら一度バットにとりだして、3分間休ませる。フライパンが小さい場合は鶏肉を何度かに分けて揚げるとよい。その場合は鶏肉を休ませているあいだに、次の鶏肉を揚げていく。


6.揚げ油を強火にかけて、今度は高温(180℃*)で鶏肉をもう一度揚げる。表面の水分を飛ばすイメージ(Tips4 二度揚げでカリッと仕上げる)。こんがりとした揚げ色がついたら(目安は1分)とりだし、油を切る。器に盛り付ける。
*濡らしてから水気をふき取った菜箸を油にしずめ、全体から勢いよく泡立つ温度


★レシピの解説

【Tips1】 一口大とは?

料理書によく一口大という言葉が出てきます。口の大きさなんてみんなバラバラじゃないか、とへそ曲がりな人は思いますが、日本料理では一口に入る大きさは1寸(約3cm)が基準。例えばお刺身もこの大きさが基準になっています。

逆にタケノコなど噛んで食感を味わって欲しい食材は一寸五分(約5cm)に切り、噛んで食べてもらうようにします。切るところから食感のデザインははじまっているのです。

【Tips2】下味に酒を使ってジューシーに

下味に酒を使ったのはジューシーな仕上がりにするためです。鶏肉を揚げると水分が蒸発しますが、あらかじめ酒の水分を吸い込ませることでそれを補うことができ、結果としてジューシーに仕上がるのです。水でもいいのですが、アミノ酸が豊富な酒を使うと贅沢に仕上がります。また、酒を使うことでアルコールが肉の繊維のあいだに入り込むので、鶏肉がやわらかくなります。

【Tips 3】小麦粉と片栗粉

唐揚げの衣には小麦粉を使う場合と片栗粉を使う場合があります。揚げたてを食べるなら片栗粉、時間を置くなら小麦粉と憶えましょう。

この二つの材料はともにデンプンを主成分としたものですが、小麦粉にはタンパク質が含まれているのが特徴。このタンパク質が衣のふっくらさと香ばしさをもたらします。一方でカリカリ感の持続力は片栗粉に劣ります。

片栗粉は純粋なデンプンで、カリッと仕上がるのが特徴です。ここでは小麦粉をあらかじめまぶしてから表面に片栗粉をまぶすことで、小麦粉の衣で鶏肉の水分を吸収させ、片栗粉でカリッとした食感を出しています。

【Tips4】二度揚げでカリッと仕上げる

一度目の揚げる工程で鶏肉を取り出した後も、表面の熱が内側に移動し、加熱が進みます。予熱を使って調理することで鶏肉に火が通り過ぎるを防ぐわけです。

一方で内側の水分が外側に移動するわけですから、表面はしっとりとした状態になります。二度揚げすることでこの外側の水分が飛び、カリカリに仕上がるのです。


さて、次はプロの唐揚げです。


プロの唐揚げ

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樋口直哉

食の博識、樋口直哉さん(Travelingfoodlab.)が、味噌汁、ハンバーグ、チャーハンなどの定番メニューを、家庭でいちばんおいしく作る方法を紹介します。どういう理由でおいしくなるのか、なぜこの工程が必要なのかを徹底的に紹介し、...もっと読む

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コメント

okinawananashi 誰かコレ↓でからあげ作って https://t.co/znoZXV1wBk 6ヶ月前 replyretweetfavorite

mmr_hrk こんなシンプルな食材で良いんだ!! >プロの唐揚げ → 6ヶ月前 replyretweetfavorite

sawamemo 片栗粉買ってこよう 6ヶ月前 replyretweetfavorite

izaken77 プロの唐揚げで試作したやつ。 カリカリしててジューシーだった! https://t.co/H90lSMAzqk https://t.co/bxSM2dhKxO 6ヶ月前 replyretweetfavorite