「ブッカー賞」とは、なにか?
日本で文学賞、というと直木賞に芥川賞が有名なんだけれども。イギリスの「ブッカー賞」をご存知だろーか。
その年、イギリスやアイルランド、アメリカの作家によって書かれた英語の小説の中で、最も優れた小説に贈られる賞。
選考委員が毎年変わったり、一度受賞した作家の小説が再度ノミネートされることもあったり、いろいろと工夫されているがために……受賞する小説のクオリティが、ものっそい、高い。
ラシュディの『真夜中の子供たち』やイシグロの『日の名残り』などなど、自分が好きな小説が過去に受賞してることもあって、地味にチェックしている賞のひとつだ。あんまりはずれがなくてありがたいんだよねぇ。
……ちなみに本題には関係ない余談なのだけど、昨年なんとスポンサーがいなくなるとのことで、ブッカー賞スポンサーが募集された。こんな世界的文学賞のスポンサーっていったい(遠い目)と思いつつ見守っていたのだけど、アメリカの億万長者夫婦が支援してくれることになったらしい。ふ、ふとっぱらー。
こちらのご夫婦、記者をしつつ投資で億万長者になったらしい。アメリカンドリーム~~~! わたしも億万長者になったら文学賞つくりたい。求む、ジャパンドリーム……。
って話が逸れました、そんなスポンサー交代したブッカー賞であるけれども!!
「ブッカー国際賞」のノミネート作品が最近発表されたんですよ~~!! 今日はその話。
ブッカー国際賞とは何か。
それは、「英語で読める(つまり、英語で翻訳されている)」なかで、「世界文学に大きな功績のある」作家を決める賞、なのである。
おおう、ノーベル賞に喧嘩売っとるやないかい! とわくわくするとこも楽しい(これはわたしだけ?)けど、過去受賞作のラインナップも、見てるだけでわくわくする。
最近話題の韓国文学作家ハン・ガンの『菜食主義者』、チェコ作家オルガ・トカルチュクの『逃亡派』などなど。
惜しむらくは過去受賞作家があまり日本語訳されていないこと。出版社さ~~~ん、cakes連載読んでたらなにとぞブッカー国際賞をひとつよろしくお願いします~~~~!
ちなみに翻訳の場合は、賞金が著者と翻訳家で山分けらしい。受賞も著者と翻訳家どちらもに与えられるんだとか。珍しいですよね、すごく夢のあるシステムではないか。
で、気になる今年のノミネート作品はこちら(ホームページがおしゃれ~かわいい~~と驚いたのはわたしだけ!?)。
ノミネート作品の出版国は、フランス、ドイツ、オマーン、中国、韓国、チリ、コロンビアなどなど多岐に渡る。
ぱやーっと見るかぎり、個人的に気になったのはオマーンの作家Jokha Alharthiが書いた”Celestial Bodies”かなあ。
Jokhaさんはオマーン出身で、イギリスの大学院でアラビア文学の博士号をとった才女(ちなみにぐぐったら彼女のホームページが激かっこよかったので、ぜひ見てほしい~)。
”Celestial Bodies”は、オマーンを舞台に三姉妹の人生を描いた物語。アラビア的姉妹モノ、すんごい読みたい。あの、この文章を読んでくださっている出版関係者さん、翻訳を……(まだ言う)。
そして日本語訳されている『口のなかの小鳥たち』がノミネートされておりましたので、読みましたよ!
『口のなかの小鳥たち (はじめて出逢う世界のおはなし―アルゼンチン編)』
サマンタシュウェブリン著、松本健二訳(東宣出版)
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