ひょんなことから、コンビを組むことになった沖縄出身の晶と愛媛出身の千春。
晶と千春のコンビ、「アンデルセン」は順調にネタの数を伸ばしていった。
千春の友人の紹介で小さな劇場に出させてもらうようにもなった。
その劇場はどこの芸能事務所にも所属していないようなアンダーグランドな芸人たちが出場しているような場所だった。
客席も合わせて20畳くらいしかないような狭さの劇場だ。
ここ大阪、笑いの本場で、お笑いをやる最高の環境が整っていながら、芸能事務所にも所属しないで、お笑いを志している人間ばかりが集まっているのだから、出場者は全員、「変わっている」という形容詞で紹介できるほど、簡単ではない。
端的にいうと、全員が浮き世離れしていた。お笑い劇場というより見世物小屋に近いといえばいいだろうか。
おたまじゃくしを丸のみして、十秒後口からカエルを出すガリガリのおじさん(口の中に何匹かカエルを飼っているらしい)、夢はアイドルといいつつ還暦を迎えた双子姉妹・紅さん白さん、ドナルドダックの物まねで「翼をください」を熱唱する日独ハーフの女の子、ウェディングドレスを着ながら日本国憲法を暗唱する京大生……。
その中で「アンデルセン」は、見た目は可愛いのにチ〇ポとしか言えない晶と、オボコの千春のコンビとして、キャラ立ちしていった。