もうすぐお花見シーズンで、お酒を飲む機会も多いだろう。
私はお酒が好きだ。すごく強いわけではないけど、そこそこ飲めるほう。コスト的にも体調的にも飲むのは週に2回程度だけど、本当は毎日だって飲みたい。
山小屋にいたときもお酒は飲んでいた。それが唯一のストレス解消だったのだ。
だけど、お酒は「人に嫌な思いをさせないように飲む」ことが大前提。人にストレスを与えるような飲み方で自分のストレス解消してちゃダメでしょ、と思う。
酒を飲むと小6に? はしゃぎまくりの「コンパ」とは……
初年度に働いていた大きい山小屋では、「コンパ」という前時代的な名称で呼ばれるイベントがあった。
お客様が少ない日、お客様が泊まっている部屋から遠い大部屋に酒やつまみを持っていって宴会するのだ。
開催頻度は高くなく、ワンシーズンに2、3回程度。だからこそ非日常感がある。コンパは基本的に全員参加で、ふだん仕事以外の時間はひとりで過ごすタイプのスタッフも参加するから、なおさらがイベント感が強い。コンパ会場の大部屋でそのまま寝てもいいし、自分の部屋に戻って寝てもいい。コンパを抜けるタイミングは自由だ。
年にもよるんだろうけど、コンパのときはみんな、大人とは思えないはしゃぎ方をしていた。
なんていうか、中身のある話をする人がいない。物真似をしたり歌ったり、プロレス技をかけ合ったり、布団にダイブしたり……。とにかく、ふざけてゲラゲラ笑うだけ。
トイレに行こうとした酔っ払いが、トイレとはまったく反対方向の壁をバンバン叩きながら「あれ? トイレのドアがない!」と騒いでいたこともあった。ほかのスタッフがトイレに連れて行ったけど、その場で漏らさなくて本当に良かった。
私も含めた酔っ払いたちが繰り広げる、あまりにバカバカしくて平和な光景は、小6男子の休み時間みたいだ。
私がそう言うと、元小学校教諭のスタッフに「小6の中でもとりわけ無邪気なタイプですね。小6はもっと斜に構えた生徒が多いです」と言われた。我々は小6以上にアホで牧歌的らしい。
コンパって、みんなでワイワイするのが苦手なタイプの人は苦痛なのだろうか。おとなしい性格のスタッフに聞いてみたら、「楽しいけど、大人数での飲み会が苦手だから、少ししたら部屋に戻りました。4人くらいの少人数でまったり飲むほうが好きです」と言っていた。
あ、でも私も似たような感じだな……(おとなしくはないけど)。
コンパはあくまでスタッフの慰労が目的だから、無理してまで付き合わなくてもいいと思う。
山小屋の晩酌事情
コンパはたまにあるイベントで、日常的にそういう飲み方をしているわけではない。
普段は、飲みたい人が各自で自由に晩酌する。飲み会という感じではなく、同じ空間でそれぞれに飲んでいる感じだ。お酒を飲んでいる人もいれば、お茶を飲んでいる人もいるし、本を読んでいる人もいる。
私も、飲む日もあれば飲まない日もあった。消灯後、常夜灯の優しい灯りの厨房で、声をひそめて静かに飲む。私はどちらかと言えばテンションの低い人間なので、コンパよりこういう飲み方が好きだ(コンパはたまにだから楽しい)。
何を飲むのかというと、日本酒だ。私はビールが好きなのだけど、私がいた山小屋には従酒(じゅうざけ)という従業員用のパックの日本酒があり、もっぱらそれを飲んでいた。
ちなみに、従菓子や従茶もあるので、酒飲みだけが得をしているわけではない。事務所で経理を担当するお姉さんは「皆さんのストレス解消になるものは大事ですからね!」と言っていた。
会社が経費でお酒を買ってくれるというと、「なんて羨ましい!」と思う人もいるかもしれない。
だけど、「ひとり○杯まで」といった明確なルールはないものの、「適量をわきまえて飲むべし」という空気が流れていて、みんな支配人や厨房主任に忖度しながら探り探り飲んでいた。
だいたいはみんな、空気を読んで飲みすぎない程度に飲むのだけど、たまに飲みすぎてやらかす人もいる。騒いで怒られる、吐く、二日酔いで次の日倒れるなどだ。
私も(そこまでじゃないけど)酔っ払ったことはたくさんあるから、大きなことは言えない。
自分でもなぜかはわからないけど、酔っ払ってトイレに行ったとき、トイレブラシを室内に持ち帰ってきてしまったことがある。
酔っ払いって、本当に何なんだろう……。