桃山商事の恋バカ日誌

ワンオペ育児の私が、泣きながら夫に謝罪を要求した夜

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、さまざまな角度から恋バナ談義を繰り広げるこの連載。これまで4回にわたってお届けしてきた「恋愛と謝罪」の最終回となる今回は、「謝られるのが苦手」問題と、「絶対に謝罪してもらわないと気持ちが収まらない問題」についてです。

謝られるのが苦手問題

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「恋愛と謝罪」について語っています。

森田 前回は、ワッコが浮気したカレシにフルチン土下座されるという衝撃のエピソードが話題になりました。

ワッコ フルチン土下座だけではわたしの気が収まらなかったので、女友達数人に相談してみんなで会議をして、「高いバッグを買ってもらえ!」ということで話が落ち着きました。結果的には、高いバッグを買ってもらっても気は収まらなかったんですけど。

清田 ワッコが友達と“謝罪会議”をしたのは、ワッコは謝られるのが苦手だからじゃないかなとも思ったんだけど、どうかな?

ワッコ それはあるかもです。怒るのも謝られるのも苦手だからこそ、友達に頼ったのかもしれない。

清田 俺も似たところがあるからわかる……。ひどいことをされたときに、ムカついて怒りの気持ちは湧くんだけど、人に直接クレームは言えない。

森田 清田はたしかにそういうところあるよね。

清田 ただ、俺の怒りを察知した相手が「ごめん」と謝ってくることはあるんです。そうすると今度は逆に俺の方が「いや、ぜんぜん大丈夫だよ」みたいな気持ちに急になっちゃうの。ごめんと言われた瞬間に恐縮してしまう。こういう人って結構いるんじゃないかな。

ワッコ わかりみです!

清田 これが俺が抱えている、謝られるのが苦手問題です。

森田 その問題は,前回も出てきた「謝罪のエンパワーメント効果」の図で考えてみるのがいいんじゃないかな。おさらいしておくと、謝罪は相手よりも下の地位に自分の身を置く行為だから、謝られた側はある種のパワーを実感して、傷ついた心が癒される。これが謝罪のエンパワーメント効果だったね。

森田  謝られると、下図のように、ひどいことをされて「下」にいた清田の地位が上がるわけだよね。そうすると居心地が悪くなる。ここからわかるのは、「清田は上に立つことが苦手」ということではないかと。たぶん清田は、相手と自分の地位が同じぐらいの関係性か、相手よりも自分が下にいる「後輩」みたいなポジションに心地よさを感じがちなんじゃないかな。

清田 実際に「上」は苦手だし、まさにその通りだと思う。

ワッコ わかるわかるわかる。わたしも基本「下からいきたい」姿勢がずっとあります。ふつうにホメられたりするのも苦手だし。一個ホメられたら一個自虐しないと落ち着かない。

清田 あるあるある。

森田 清田もワッコも、誰に対してもマウントしないもんね。それはすごい美点だと思うんだけど、一方で、清田にも「できれば謝ってもらいたい!」という気持ちを持つことはあるんでしょ?

清田 あります。

森田 だとすると謝る相手からしたらよくわからないかもしれないよね。怒っている清田の気持ちを察して謝ったのに、それを受け止めてくれないということになるわけだから。欲しがってたのに拒否された、みたいな。

清田 受け止める力がないんだろうね……。急に罪悪感が生じて「うっ」てなっちゃう。

ワッコ マウントを取ってしまったという後悔もあるんじゃないですかね。

清田 それもあるかも。

森田 相手の気持ちを考えると、そこは受け止めて欲しいだろうな。「いやいやいや」という謙遜は、ちょっとずるい気もするし。怒ったことには責任取ってもらいたいというか。

清田 「こっちは真剣に謝ってるのに!」と思うかもね。それにしても、“怒ったなりの責任”ってすごい考え方だね。

森田 もちろん、相手が怒るような行為をした側が一番悪いということが、大前提での話ですけど。

ワッコ 謝る側と謝られる側ってクルクル変わりますしね。どちらの立場にいるかに限らず、謝罪への熱量に差があると「同じ力で投げ返してこいよ!」みたいに思うのは自然なのかも。

「受け入れないで!」という悲痛な叫び

森田 あとさ、ケンカやトラブルが起きたときに、「絶対に謝罪してもらわないと気持ちが収まらない」と思うような場面もあるよね。

清田 俺は謝られるのは苦手だけど、それはそれでわかる。

森田 最後にそういうエピソードを紹介したいなと。これは常連恋バナ投稿者“漁師の娘”さんが教えてくれた話です。

ワッコ 娘さん、久々の登場ですね!

森田 彼女は昨年めでたく出産したんです。しかも双子の赤ちゃん。

清田 娘さん自身も双子だよね。双子は双子を産みがちなの!?

森田 不思議だよねえ。彼女は現在育休中なんだけど、双子はほんっとうに子育てが大変みたいで。

ワッコ 赤ちゃん一人でも大変なのに、同時に二人ですもんね……。

森田 そして夫は激務系の会社で働いているから、毎日深夜の帰宅らしくて。

清田 初めての育児が双子でワンオペに近い状況なのか……想像を絶する。

森田 娘さんはがんばっていたんだけど、産後100日をすぎたくらいのときにとうとう気持ちが爆発してしまった。深夜に帰宅した夫に対して、泣きながら「静岡の実家に帰りたい」と訴えたんだって。毎日2時とか3時に帰ってくるんだったら、自分がここにいる意味ないからって。

清田 つらい……。

森田 そしたら彼は、「あなたがそうしたいなら帰っておいで」と言った。

ワッコ 素直に受け止めたんですね。

森田 そこで娘さんはさらに泣いて、「そうじゃない!」「受け入れないでよ!」と叫んだ。

清田 あ〜。いや、難しい状況だけど娘さんの気持ちもめっちゃわかる。わかるよ……。

森田 そのときは混乱していたから娘さん自身もうまく言葉にできなかったみたいなんだけど、彼女が本当に言いたかったのは、「帰ってきてゴハンを食べるときにケータイやテレビを見てないでおしゃべりしよう」とか「朝もギリギリまで寝てないで話そうよ」ということだった。とにかく自分が軽視されているような感覚があり、惨めな気持ちがどうしようもなく膨らんでいた。「わたしはあのとき、夫から謝罪を引き出したかったんだと思う」と、彼女は言っていました。

ワッコ 「実家に帰りたい」という言葉は、そう思ってしまうくらいメンタルがギリギリなことを伝える表現だったわけですね。

清田 その言葉を、彼は文字通り受け取ってしまった。

森田 実際のところ娘さんは、本心から「帰りたい」と思っていたんだよね。でもその言葉を彼が素直に受け入れた瞬間に「そうじゃない」ことに気づいた。泣き叫んだ娘さんの様子を見て、ようやく彼の方から「気づかなかった。ごめんね」と謝罪があり、娘さんの気持ちもなんとか落ち着いたとのことです。

“字面男子”の言い分

ワッコ それにしても、そこまでしないと気づいてもらえないんですかね……。

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桃山商事の恋バカ日誌

森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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コメント

the_social_weak これ、これから結婚する人全員に読んでほしい大切なことが散りばめられてる気がする 4ヶ月前 replyretweetfavorite

nenkosutra 「謝罪」ってホント奥が深いのな…。←経験者😅 4ヶ月前 replyretweetfavorite

unison_mino なにが、と言われると困るけど この記事なんかおもしろかったので https://t.co/xOXhGNPyJr 4ヶ月前 replyretweetfavorite

momowakko 「腹は立ってるけど謝られるのがなぜか苦手」問題と、「怒ってる人の感情面に鈍感な男性にモヤモヤ」問題について熱く語っております。長編になった「恋愛と謝罪」もこれで最終回です🔥🔥🔥 https://t.co/xau 4ヶ月前 replyretweetfavorite