複数のアングルから、モノを見る癖をつけてしまおう。

誰でも、主観というひとつの視点からしか、モノ・ヒト・コトを見ていない。それが当たり前なのだが、「うまく伝える」ということを考えると、少々問題だ。ひとつの視点ではなく、積極的に複数の視点を用意してみよう。俄然、発想がしやすくなってくるはずだ。話題のコミュ本『伝わるしくみ』から、特別連載。

『伝わるしくみ』山本高史
(マガジンハウス)

モノ・ヒト・コトを見る複数の視点

 ぼくらは無意識のうちに、モノ・ヒト・コトに対して主観という一つ(だけ)の視点から眺めては、「Aっていらないよ」「あの人はBな人だな」「近頃の若者はCがないね」と決めつけて生きている。それが妥当かどうか検証もしないで、平気で「Aって」と口にする。

 それが「主観は偏見に過ぎない」ということの実態である。モノ・ヒト・コトを一方向からしか見ていないことに疑いも持たないから、そんなじつのない言葉になるのだ。

 では、例えば「ナカサコ」に対するみんなの「主観という名の偏見」を持ち寄ったらどうだろう?
 つまり「ナカサコ」は、「頼りになる」「かわいい後輩」「大阪から来た」「面白そうな」「太った」「ドラマー」「よく食べる」「息子」「夫」「人のよさそうな」30過ぎの男ということになる。

 それで人間ナカサコの全体像が語れるわけではないが、無邪気に自らの主観だけを信じて認識・理解した気になる愚は避けられる。少なくとも「ドラムとったら何が残るんや」という的外れな批判はもう出てこない。

 つまり、モノ・ヒト・コトを見たり考えたりするときに、積極的に複数の視点を用意するのである。 
 それが「アングル」の基本的な考え方である。

 一つの視点、主観からだけ「ナカサコ」を見ることは、すでに偏見と呼べるものだ。
 それは同時に「脳内データベース」を健全に保つことにもなる。

 主観は偏見である。そんな主観のみを尺度にすれば「経験」(特に「脳内経験」)もやはり偏り、それがいつものこととなれば当然偏った「脳内データベース」が出来あがる。そんな「脳内データベース」に「経験」をどれだけたっぷり貯め込んでいても、偏った状態では「発想」にも、その先の「伝えること」にも素直に信頼は置けない。
(自分のものなのに)

 それを避けるためにも、また視野広く考えるためにも、「脳内経験」に「アングル」は有効だ。

アングルのつくり方

 モノ・ヒト・コトを見る複数の視点を持つこと。普段の生活には、もともとその発想はない。面倒くさいし、判断も滞る。
 ただここまで書いてきたように持たなければならないものならば、意識的につくるしかない。

  試しに適当にテーマを決めて、「ナカサコのアングル」を参考に展開してみる。
 まったく難しいことじゃないのです。そのテーマに関して、最初に思いついた10個を並べてみればいいだけ。「~といえばXX」という感じで。

  例えば「4月」をテーマに「アングル」を展開してみる。

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2時間でわかる 伝わるしくみ

山本高史

「しくみ」がわかれば、簡単に言葉にできる! シンプルにして究極のルールを、クリエーティブ・ディレクター/コピーライター、関西大学社会学部教授でもあるコミュニケーションのプロが、満を持して公開。今までいろいろな本を読んでも まだまだ悩み...もっと読む

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