じぃじ&ばぁばの孫への接し方は最高の教材

父親になるってどういうこと? ググっても答えが出ないから書いてみた。ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)による子育て実況連載、第22回。ふたたび実家へ向かった本人一家でしたが、なんだか複雑な想いは変わらなくて…。こちらの回とあわせてお読みください。

ようやく生後300日。自分の年齢はフワッとしてきてるのに、子供の場合は「いま何ヶ月」という単位でつぶさに見ているし、こうして大台に乗るたび達成感のようなものが訪れる。そんなモードをもはや自然なものとして受け入れられるほど、おれたち夫婦はすっかり親色に染まってきている。30年以上も心血注いで育てた自我が、たったひとり戸籍にもぐりこんできただけでコロッと狂わされるなんてもうすごいことだ。

しかし、あの0歳児は育て役のふたり以外の人間も転がしている。そのうちのひとりがよこした年賀状には、たしかこんな言葉が記されていた。

「成人式を見届けるまで、じぃじは9X歳まで長生きします!」

あいにく見た瞬間に心が死んだので詳細は思い出せないが、おれの父であるところの彼は、昨秋の帰省で初対面した孫により脳がとろけたらしい。長生き宣言とともに複数枚の写真がハガキに散りばめられ、そこには電動自転車で調子こいてる姿のほか、孫を抱いて得意げなじぃじのお姿もあった。おれら夫婦への確認とかナシかよ。前回は「寝かしつけ」と称してチャイルドシートもないのに車に乗せるなどの蛮行を繰り広げてくれたが、2019年もうちの子の大ファンのままか。きっつー。

年明け後初となる帰省をした。以前書いたとおり異母兄弟を始めとするあれこれの事情から父には「ないわー」という感じだが、母には初孫となる我が子をなるべく見せたいという気持ちがあり、週末にふらりと帰ったのだ。

人見知りがとっくに始まっているはずの月齢にもかかわらず、今回も赤ん坊は出会う人すべてにほほえみかけるスタンスを崩さない。その調子で彼は、名古屋駅まで迎えに来てくれた母にスマイルをぶちかまし無上の喜びをプレゼントした。

そして実家に到着すると、そこにはばっちりスタンバイしている父がいる。先に車を降りた妻が子を抱いて玄関をくぐると、やっぱり上機嫌な「うわー! 大きくなって!」とアッパーなじぃじ声が外まで届いた。

もうすっかり親となったであろう我々と、速攻でじぃじとばぁばになったex.両親。居間に面した和室でコロンコロンと遊ぶ子供を4人で眺めながら、見下ろし視点の自分が「すごい状況になっている…!」というオーディオコメンタリーを寄せていた。

今回は到着した翌日に、地元の友人達に妻子の初披露もしている。いまや私は東京に来てからの生活のほうが実家暮らし期間よりも長くなって、彼らと会う機会も減った。昔は一緒に行ってたフジロックも、乾杯どころかおれが慌ただしくステージを駆け抜ける様子を遠くから目撃して「見たぜ」とLINEしてくるくらいだ。

「ウィーザーの最高傑作は青盤かピンカートンか」的な話をしていた頃と同じノリで、いまは最高の寝かしつけ方法が何かといった話を繰り広げているから面白い。その一方で「不妊治療で100万円なんて速攻なくなるでよ」とか「あいつの前の奥さん結婚したらしい」なんて複雑な話が間に挟まってくるから、おれたちが確実に年を食っているのは確かだ。

とはいえ、人なんてそうそう変わらない。それが帰省をしてみて改めて感じられたことだ。父は変わらず、いま自分が興味のあること以外は視界から抜け落ちてて、「孫かわいい」以外は自分の話しかしない。ハイハイする様子を眺めながら「おう、あぶないあぶない」とポケットに手を突っ込みながら言ってるし、想定外のルートを進んでホコリだらけになっても構いやしないという様子だ。

きわめつけは離乳食を居間にて夫婦で食べさせているとき、おれたちが子供の機嫌を取りながら慎重にうどんを口に持っていってる後ろで、父はおもむろに自分が自転車に乗るとき使用するベストの話を始めた。LEDで発光する機能があり、街灯のない田園地帯を夜間に通るときでも安心なのだそう。それこのタイミングでする話!? と思う間もなく「ほれ!」とベストはパカパカ点灯を始め、孫の気を惹くのに成功したじぃじは「オッ、興味津津だなあ!」とうれしそう。光る衣装をガン見して子供はいつしかうどんを忘れ……あとで妻から「あのときの本人さんの死んだ目つき」と笑われた。じぃじになってもあの人はあの人だ。

かつて家事育児をめぐるやりとりでバチバチにやり合った身としては、「あのときの温度差とは実際こういう感じなのか」とわかってなかった自分そのものを客観的に見せられているかのようだった。そういえば昔から家事に参加したことのない人。ああ昭和の男。しかし平成の自分だって気を抜けばこうなるのだろう。遺伝しないようにしたい。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
こうしておれは父になる(のか)

本人

「今にこの子は「パパ」としゃべるだろう。そのとき自分は、何としてきみを抱きしめたらよいか、再び考えてみよう」――ライブやフェスをレポートするのが趣味のネットユーザー、本人さん(@biftech)がはじめての子育てを実況! 父親目線で見...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

biftech いつかはおれもじぃじになるのだから。お子300日達成記念回です。 5ヶ月前 replyretweetfavorite