英語を楽しく学べるものと感じてもらいたい
——最近テレビにご出演される機会が増えていますね。
ありがとうございます。ほんとうに多くお話をいただいているのですが、ほとんどのテレビ番組が、夕方に収録なんですよ。でも毎日夕方に授業があるのでなかなかスケジュールが合いません。時間がある限り協力させていただいているのですが・・・
英語は「勉強として学ぶもの」という意識が強く根付いています。そんな嫌がられる英語へのイメージを変え、手軽に始められるようなものだと知ってもらうことが、私の役割だと感じています。そのため、テレビでは文法がどうだとか難しい話ではなく、中学2年生でも分かるようなレベルで話をするようにしています。
実際、テレビに出させていただいたときの反応はかなりよかったと聞きました。一般の方の英語自体に対する興味は、やはり高いのだと再確認しました。
——学生の方を教えているときも、そのような英語への関心の高さを感じますか?
学生についてはそうでもありません。むしろ、ここ10年ほど、学生が海外への興味をあまり持たなくなっているように感じています。話を聞くと、洋楽は聴かないと言うし、アメリカのホームドラマや映画を見ないという人が多いようですね。
——洋楽を聴いて、その歌詞の意味を知るために辞書を引く、というのは過去のものなんでしょうか?
今、洋楽を聴いたりとか、海外ドラマを見ていたりしているのは上の世代ですね。もちろんそれは日本の文化が成熟してきたという結果でもあるので悪いわけではないのですが、外国語に興味が持ちにくい環境になりつつあるとも感じます。
——確かに映画でも、昨年の興行成績トップ10のうち邦画が7本で、洋画は3本しか入っていませんでした。そうすると最初に英語に接点を持つ動機やきっかけがなくなりますね。
そうです。その結果、英語教育はどうしても「テスト・プル」、テストによって需要とモチベーションを引き出すことになってしまいます。専門用語でEFL環境(EFL:English as foreign language)と呼ばれますが、日本という国の中では、元々英語を使わずとも生活に支障が無く、興味を持つきっかけが無ければ、外国語として学ぶ必要性が感じられず、なかなか切実な気持ちで英語を勉強しようとする気が起きないんですね。だからテストによって、何とか勉強する機会を作っていくしかない。
しかし、現状ではテスト内容は、リーディングとリスニングが中心になっています。TOEICテストでも企業の就職試験などで問われるのはリスニングとリーディングを合わせた990点分です。その結果、スピーキングやライティングはテストに出ないし、就職や転職に関係ないからやらないという人がほとんど。なので、日本人がもっと英語を話せて、書けるようになるために、TOEIC SWテスト(スピーキング&ライティング)の普及させる活動を行っています。
一方で、もちろんテストのために勉強するというのは本来あるべき姿ではありません。最初にもお話しましたが、様々な活動を通じて楽しく英語を学ぶということを伝えていきたいと思っています。
語学は一日5分から始める
——今の安河内さんのお話で英語の勉強を始めようという気になった人もいると思いますが、英語に限らず、何かを始める上で大切なことはなんですか?
まずは将来の目標をしっかり持って、そこから逆算して考える。大学入試でも社会人でも一緒ですが、何か勉強したいこととか、やりたいことがあるとか、そこから行きたい大学を決めて、そこに合格するために勉強をするという逆算が大事だと思います。
目標は持っていて、なんかやりたいと思っているのに、結局何もしないまま3年、5年が過ぎている人が多いように感じます。そういう人は、間違いを恐れて始められないという気持ちが強い。いきなり高いレベルを求めすぎるのはダメなんです。小さな一歩でもまず始めることが大事。始めてみて、継続することができれば、この世の中のほとんどのことは達成可能だと思います。
語学の勉強を始めたいと思ったら、まずは、一日5分やることから始めてみてください。
——そのようなモチベーションを持ち続けるコツは何ですか?
楽しんでやることと、少しずつやることに尽きます。1日2時間1カ月よりも、1日5分を3年間。毎日ちょっとずつ行います。『英語は机でするな!』(大和書房)という本にも書かせていただきましたが、社会人は仕事がありますから、通勤などのスキマ時間にやればいいと思います。もちろん受験生は勉強が仕事なので1日2時間を毎日すべきですが。
忙しい人ほどよく勉強してできるようになるし、その結果仕事ができるようになると思いますよ。
※次回は7月26日(金)に掲載いたします
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