可愛いタヌキ、お味はいかが?
「『昔話でおばあさんが食べているもの』といえばなんでしょう?」
こういうアンケートを取ったとしたら、皆さんなんと答えますか?
きっと少なからぬ数の人が「タヌキ汁」と答えるのではないでしょうか。
「カチカチ山」をはじめ、様々な昔話に登場するタヌキ汁。
ぼくは子どものころから食い意地が張っていたので、昔話に出てくる食べ物や料理を見るたびに「いいなー食べたいなー」と思っていたのですが、とくに心を惹かれたのがやはりこの「タヌキ汁」でした。
まあ、あの話は実際はタヌキ汁ではなく「おばあさん汁」なので、食べてはいけないんですけどね。さすがのぼくも「ヒト」を食べたいと思ったことはまだありません。ホントダヨ?
タヌキと混同されやすい、4種の哺乳類を食べ比べてみた
ふっくらしていて美味しそうといえば美味しそう
さて、そんなタヌキ汁ですが、いったいどんな味がするのか。
子どものころ、周囲の大人に「タヌキってどんな味がするん?」と聞いてみても、都会に暮らしていてその質問に答えられる人などいるはずもなく……
その答えを知ることができたのは、ぼく自身が大人になってからのことでした。
見た目は普通のハムに近い
ぼくは「野食会」という、野食材を採取してきて振舞いあうイベントをときどき開催しているのですが、そこにタヌキのジャーキーと燻製が持ち込まれたのです。
タヌキ汁でこそありませんでしたが、それでも憧れのタヌキ肉を食べる機会に恵まれ、テンションはMAXに。
果たしてどんな味なのか……1切れ手に取り、そのまま口に放り込んでみました。
……くさっ。これは……かなり……臭いですね。。
噛み締めるたびに口の中が動物園の室内コーナーのにおいで満たされます。
なんでも食べるので好き嫌いがないと思われがちなぼくですが、実は獣臭さがかなり苦手。タヌキちゃんは見事にぼくの弱点をピンポイントで打ち抜いてきます。
今回、臭みがあることを想定して、それが気にならないような調理を施してくださったのですが、それでもなお消せない強い臭みがあります。とくに脂身が非常にしんどい。
これ、もしタヌキ汁になっていたらにおいを嗅いだだけで卒倒してしまったかもしれません。間違いなく美味しい物とは言えないでしょう。
さて、しかしながら昔話ではときに、タヌキ汁がご馳走的な扱いを受けていることがあります。これは一体どういうことか。
インターネットで調べてみると、面白い説を見つけました。
タヌキと似ているけど……
日本には、タヌキとぱっと見が似ている動物に、アナグマがいます。「同じ穴の狢」などの言葉でしられる「ムジナ」ですね。
タヌキがイヌ科に属しているのに対し、アナグマはイタチ科に属しており、分類学上近いというわけではないのですが、かつて日本ではタヌキとアナグマを混同し、どちらもムジナと呼んでいたそうです。
そのため「タヌキ汁」にアナグマが使われていたこともあったでしょう。
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