ブスでなければ別れなかった
はじめての彼氏だった。
一生添い遂げると思った。結婚して苗字が変わることも考え、名前の練習もしていた。
しかし1年で破局。この世の終わりのような感覚に陥った。
付き合っていたのは大学の一個上の先輩だった。
私ははじめての彼氏ということでとても舞い上がってた。
しかし私はブスでした。
彼が、まわりの友だちから「お前の彼女かわいくないな」と言われていたようなのだ。
そしてそのことを私に言うのだ。
「〇〇が麻美のことかわいくないって言ってた」
実家に置いておいたプリクラを見て、彼のお母さんが、
「あんたの彼女、かわいくないわね」
とも言ったそうな。
周囲から言われたことを私に言ってしまう彼もどうかと思うが、私は腹が立つどころか、申し訳なさで胸がいっぱいになって、 「ブスでごめんなさい」と思っていた。
私はブス、ブス、ブス。
自虐的な気持ちでいっぱいになった。いまならそんなこと言うヤツとはすぐ別れなさいと思うのだが、当時の私は、彼と別れたら次の彼氏は絶対にできないと思っていたので、別れられなかった。
自分の彼女が周囲からかわいくないと思われている。
そのことに耐えられなくなった彼は、別れ話を切り出してきた。けれども私は、
「きっとまた好きになってくれるはずだ。外見ではなく内面を見てくれるはずだ」
そう願って、いつか変わってくれると思い、しがみついていた。DV夫を持つ妻の考えにそっくりである。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。