前回の記事はおかげさまでとても好評で、ぜひ実践してみたい!という声をTwitterはじめとしてたくさん頂きました。今回からはいよいよ本格的な説明に入っていきます。
今回の記事は、みなさんに心を使いこなす上で基本となる「モデル」の理解をしてもらうことを目指します。
モデル、というと少し難しく聞こえますが、ストレスとはそもそもどんなもので、人はそれをどう捉えているのか、その「仕組み」について分かりやすく説明します。ここをまずきちんと理解しておくと、「心を使いこなす技術」を身につける上でとても役立ちますので丁寧に見ていきたいと思います。
(なお説明には日本における認知行動療法の実践と普及をリードされている伊藤絵美先生の『ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK 1』を参照します。この本は認知行動療法の概念やモデルの基礎と、なによりその実践について具体的に、しかも分かりやすく学ぶことができます。枠組みやモデルの説明をこの本に依拠しつつ、そこに私のリアルな実体験を織り交ぜて皆さんの理解が進むようにしたいと思います)
ストレスとはなにか?
では早速説明に入っていきましょう。
まずそもそもストレスとは何でしょうか? それは以下の図のように「ストレス状況に対する反応」として定義できます。
例えば私の場合は「不確実な未来への不安」を抱きがちでした。上司から急に仕事を振られた時など、果たして期限までに終わらせられだろうか、上司を納得させられるだろうかといつも大きな不安が襲ってきました。
また、海外出張のような不確定要素が強い仕事は特に不安が募りました。中国のタフな交渉を仕掛けてくる顧客に対して、果たして期待される契約を勝ち取ることができるだろうか? アジアの全代理店が集まる会議で、数百人を前にしてうまくプレゼンできるだろうか?
こうしたことを考えていると、出張前日などは不安でいてもたってもいられなくなり、部屋の中を独り言を呟きながらぐるぐる回ったりするなど、かなりヤバイ人になっていました。
ここでのポイントは、ストレスというのはそれ自体単独で存在するものでなく、ある状況(例: 海外出張に行く)に対する自分の反応(例: うまくやれるだろうかという不安や恐れ)である、ということです。
これは言われてみれば当たり前ですが、人はストレスを感じているとついその感情に飲み込まれてその原因となっている状況を見失います。なので、まず「ストレスとはある状況に対する反応なんだ」ということは、改めて理解しておくべき重要なポイントです。
ストレスを理解するための基本のモデル
そして、この定義を踏まえて、次にもう一歩その「ストレスに対応する反応」を深く見ていきます。
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