ここしばらくアップルに話題をさらわれ続けていた携帯通信の分野で、最近少し風向きが変わってきたように感じます。
NTTドコモが春に発表した、端末販促奨励金の絞り込み、通称「ツートップ戦略」のおかげで、その1つに指定されたソニーモバイルコミュニケーションズの端末「Xperia A」が、5月の発売から7月9日までで94万台も出荷するという、記録的な売れ行きを示しています。2番手のサムスンの「Galaxy S4」は45万台なので、実に2倍以上の差をつけています(参考記事)。ここ数年、スマートフォンへのシフトの中でアップルを初めとする海外勢に水を空けられてきた日本勢としては、快挙と言うべきでしょう。
ドコモの販売方針の転換の是非については、既にさまざまなところで論じられているので、ここであえて議論するつもりはありません。5ヶ月ぶりに契約数が純減に転じたことも、ドコモにとっては想定の範囲内だったはずです。何しろツートップ戦略の最大の狙いは、今もまだ契約数の半分近く、3000万人もいるドコモのガラケー(従来型携帯電話)ユーザーを、月額料金の高いスマートフォン契約に移行させることが目的だったのですから。
上記のリンク先の記事によれば、Xperia Aを契約したユーザーの60%以上がガラケーからの乗り換えだったとのことです。もしツートップで300万台が売れ、その3分の2が既存ガラケーからの乗り換えだとすれば、それだけでドコモにとって300億円近くもの通信料金収入増が見込めるわけですから、その意味では目論み通りであると言えましょう。
Xperiaはなぜドコモ「ツートップ」に選ばれたのか?
しかし、ここでふと次のような疑問が浮かぶ人も多いはずです。ツートップ戦略の狙いはガラケーからスマホへの既存ユーザーの乗り換えを促進することだったとして、そもそもなぜそれにソニーのXperiaとサムスンのGalaxyが選ばれたのでしょうか?
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