最終的に到達したいのは『モナ・リザ』のような仕事

医療分野でのビッグデータ活用を進める慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授、宮田裕章さん。宮田さんが目指すのは、単なる医療の質・効率の改善にとどまりません。21世紀の石油となった”データ”で、世界はどう変わるのか? 後編となる今回は、宮田さんの哲学の出発点に迫ります。前編中編とあわせてどうぞ。

医療は価値の創造をリードする分野と見定めた

宮田さんを支えているのはどうやら、「いまの日本の医療をもっとよくしたい」といった個別の事象には収まらない、もっと大きな思いだ。これからの社会のデザインだったり、どういう世界をつくることに貢献すべきかといった、哲学的な命題をいつも見据えている。

なぜそんな壮大なことを見定めるに至ったのか。その出どころが気になってしまう。

そこで、自身の哲学の出発点を教えてほしいと請うてみると、早くも10代で思いを固めていたのだと教えてくれた。探求を始めたのは高校時代からであるが、専門家との対話が本格化したのは高校を卒業して東京大学へ進学した後である。幸い東大は1〜2年次が専門を絞らない教養課程となっていて、幅広い学びを許容するところがある。

「興味ある分野ができると、様々な情報源をあたって考えを深めたうえで、これぞと思う教授に議論をぶつけにいきました。法哲学、憲法学、行政学、情報工学、脳科学、社会心理学、経済学、社会学、公衆衛生学などと分野は多岐に渡ります。道場破りのような勢いで、いま思えばなかなか生意気ですが。相手にされないこともあれば、何度も議論につきあってくれる先生もいました。

これは事物中心から人々の多様な価値中心へのパラダイムシフト、持続可能な共有価値を軸にした社会システムとcodeのアップグレード、という当時から考えたらラディカルな議論でした。ただ当時でもビジョンの基本ラインに賛同してくれる方々は、大学のなかにもちゃんといました」

それでも多くの場合、「ただし」と留保がついた。

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営むひと〜経営者の肖像〜

山内宏泰

よりよい社会を実現するために、人や情報やモノやお金を動かしていく起業家や経営者たち。彼ら彼女たちはどんな世の中を、どうやってつくろうとしているのか。若き起業家や経営者たちの「顔が見える」インタビューシリーズです。

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