医学部に籍を置きながら社会変革を目論む若き研究者の挑戦

医療分野でのビッグデータ活用を進める慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授、宮田裕章さん。宮田さんが目指すのは、単なる医療の質・効率の改善にとどまりません。21世紀の石油となった”データ”で、世界はどう変わるのか?宮田さんの挑戦を、今回から前中後編に分けてお送りします。

世の中を変えたい、動かしたい、よくしたい−−。

といった純粋な思いを抱く向きは、どの時代にも存在する。そういう人は、幕末なら憂国の志士になったかもしれぬし、昨今なら起業家として事を興す人が多いだろうか。

ここに、大学の医学部に籍を置きながら社会変革を目論む、

「超実践的研究者」

とでもいうべきオリジナルな立ち位置の人物がひとり。慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授、宮田裕章さんだ。

21世紀の石油は「データ」である

医療で世にインパクトを与えるといえば、手塚治虫『ブラックジャック』のように、ゴッドハンドたる凄腕で患者の命を救っていくパターンが真っ先に浮かぶけれど、宮田裕章さんのアプローチはまったく違う。

武器として用いるのは医術の腕前ではなくて、「データ」なのである。

「そう、データが次代の石油である、という状況は既に現実になっています」

と宮田さんは断言する。どういうことか。

「20世紀の社会で最重要だったのは、ほとんどあらゆるものの動力となっていた燃料としての石油です。ところが21世紀になって、状況は一変しました。物質を伴わないデータという存在が、社会を動かす原動力となったのです。

変遷をよく示すのは、双方を担う企業群の時価総額。石油を一手に扱ってきた世界の石油メジャー企業群の時価総額は、これまで他分野に比べ圧倒的でした。ところが2010年代になって、データを扱う巨大企業4社、頭文字をとって『GAFA』と呼び習わされるGoogle、Apple、Facebook、Amazonの時価総額が、石油メジャー4社の総額をあっさり抜き去ったのです。更にはその時価総額はその後数年で3,4倍になっています。

これからは、データを軸にさまざまな価値が生み出されていきます。データによって社会が動く『データが世界を駆動する時代』の到来です。よりよい社会をデザインする上でも、データを活用することは必須になっています」

臨床ビッグデータが医療の質を高めていく

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営むひと〜経営者の肖像〜

山内宏泰

よりよい社会を実現するために、人や情報やモノやお金を動かしていく起業家や経営者たち。彼ら彼女たちはどんな世の中を、どうやってつくろうとしているのか。若き起業家や経営者たちの「顔が見える」インタビューシリーズです。

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コメント

tak1000 宮田先生。部屋がすごいのは間違いないが、写真w 4ヶ月前 replyretweetfavorite

inflorescencia 宮田先生はビジョナリーですごい。そして、会うたびに髪の色が変わっている…。 |山内宏泰|営むひと〜経営者の肖像〜 https://t.co/k56MBldKDT 4ヶ月前 replyretweetfavorite

akoroitaku データが次世代の石油とな((( ・ω・)ふうむ 4ヶ月前 replyretweetfavorite

TasukuMizuno 宮田先生だ。最近お会いしたなかで抜群におもしろい人。 4ヶ月前 replyretweetfavorite