気になる男性の好みがわかりません
友だちが開いた飲み会で知り合った男性のことが気になっています。その飲み会で「好きな女性の好みはどんな人?」という話題になったときに、彼は「エロい女の人がいいな」と言っていました。
しかも、他の男性もみんな「超わかる~」と同意していたんです。私には全然わかりません……。
男性にとっての「エロい女」ってどんな人なんでしょうか? また、「エロい女」になるにはどうしたらいいですか?
(31歳・まゆみ)
二元論的発想と受験型恋愛
まゆみさんは〈男にとっての「エロい女」ってどんな人なんでしょうか?〉と書いていますが、ここには「世の中にはエロい女とエロくない女の2種類がいる」という〝二元論的な発想〟が見て取れます。そして自分のことを「エロくない女」と位置づけ、気になる男性に好かれるためには「エロい女」にならなくては……という焦りを抱いているようです。
またこの相談文からは、「正解」を求めるマインド(=男性にとっての「エロい女」ってどんな人なんでしょうか?)と、「努力」の方法を知りたい(=「エロい女」になるにはどうしたらいいですか?)という気持ちが見て取れます。
このように、「恋愛には『正解』や『方程式』があって、正しい努力を重ねていけば幸せに近づける」という発想を、我々は〝受験型恋愛〟と呼んでいます。
物事には目指すべきゴールがあり、そこに至るまでのカリキュラムも整備されている。そして、努力して正解を積み重ね、成功に続く階段をひたすらのぼっていく─。その心構えはまるで受験生のように感じられます。
まゆみさんの場合も「男性にとってのエロい女」という「正解」を知り、そこに至るカリキュラムを欲しているように見受けられますが、はたして「エロ」とはそのような努力によって獲得していくものなのでしょうか?
「記号」としてのエロ、「実感」としてのエロ
まゆみさんには特定の気になる男性がいるわけで、本来なら「その人から好かれること」が目的となるはずです。しかし、彼が「エロい人が好み」と言い、まわりの男性たちもそれに同意したことで、まゆみさんの中で「彼から好かれること(=彼からエロいと思われること)」と「すべての男性からエロいと思われること」が混同してしまったのだと考えられます。
エロい女性像は、確かに最大公約数的に語られがちです。有名人で言えば、壇蜜さんや橋本マナミさんなんかがその象徴的な存在かもしれません。グラマラスで、ミステリアスで、憂いを帯びていて、艶めかしくて、いい匂いがしそうで……と、その構成要素を挙げればいろいろ出てくるでしょう。
けれども、そういう要素をたくさん集めたからといって、意中の彼にとっての「エロい女」になるとは限りません。というのも、エロっぽさをまとうこと(=記号としてのエロ)と、特定の相手がその人にエロさを感じること(=実感としてのエロ)との間には、必ずしも相関関係があるわけではないからです。
「記号としてのエロ」とは、化粧や髪型、仕草やファッションなど、「男の人はみんなこれにエロを感じるだろう」とイメージされがちな要素のことです。こういった記号を集めれば「エロい女」に近づけると発想したくなる気持ちはよくわかります。ですが実際には、同じ「エロい」という言葉を使っていても、何にエロさを感じるかは個人差のとても大きい問題です。
例えば壇蜜さんや橋本マナミさんにエロさを感じる人もいれば、まったく感じない人もいるわけです。もしもまゆみさんが彼女たちのようになって、不特定多数の男性から「エロい女」と思われたとしても、意中の彼からはエロいと思われない可能性だって大いにあるわけです。これは男女共通の話だと思いますが、とにかく「何をエロいと思うかは人それぞれ」としか言いようがない。そこはしっかり押さえておく必要がありそうです。
実感としてのエロはコミュニケーションの中に宿る
何にエロさを感じるかは個人差のある問題だとすると、「じゃあ、彼は何をエロいと思うの?」という疑問が浮上してくるかと思います。しかし、彼と恋愛関係に進みたいと願うまゆみさんの目標は、「彼の好みの記号を探すこと」ではなく、「彼が実感としてのエロさを感じる女性になること」です。
この「実感としてのエロ」は、相手とのコミュニケーションの中でしか発生しません。つまり、実際に関わってみないとエロは生まれない。だとすると目指すべきは、彼と具体的に関わり合う中で「エロいな」と思われる瞬間を作っていくことになります。