「今日ももこみちが何かを作っている」
『ZIP!』(日本テレビ系)の料理コーナー、速水もこみちによる「MOCO’Sキッチン」がこの3月いっぱいで終了する。昨秋からコーナーの形態が変わり、「もてなしMOCO」と題し、1週間にわたって特定の芸能人を招き、おもてなししてきた。尺の短い料理コーナーの醍醐味は、説明不足のまま進行してたちまち終わる清々しさにあったというのに、番宣を絡めたゲストが登場すれば、どうしたって立ち上がりが遅い。自分にとっては、「今日ももこみちが何かを作っている(それが何かをさほど確認せずに新聞を読んでいる)」のと、「今日ももこみちが誰かと料理を作っている(新聞を読んでいても繰り返し顔を上げて確認しなければならない)」のとでは、日々の生活へのなじみ方が違う。
先週は映画の宣伝であちこち駆り出されている高橋一生(それにしても『しゃべくり007』でトイレを素手で洗うと豪語していたのには驚いた)と川口春奈がゲストだったが、初回分の放送では、最初の20秒近くを映画の予告編映像に費やし、日頃、2人は料理しますかと問い、「ほとんど自炊」「撮影中はほとんど作らない」といったコメントを引き出しながら、では、魚料理を、と本題に入るまでに、かなりの時間が経過していた。朝のワイドショーって、「さて、本題です」という構成ばかりだから、ミニコーナーなのに本題に入るまでの時間が長いと、とにかく無駄に感じられる。
もこみちの一方通行を、視聴者も一方通行で見ていた
「MOCO’Sキッチン」といえば、視聴者からのメールに答える形がお馴染みだった。始まってしまえば、作っている様子をひとまず目視するものの、詳細は確認しない。今日もどうやらオリーブオイルを使っているっぽい、程度だ。あの時間帯の数分間は、お弁当を作っている人、着替えている人、歯を磨いている人などなど、多くの人にとって貴重な数分であるはずで、「誰かと対話しているもこみち」ではなく、「目視されるもこみち」くらいで良かったはずなのである。
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