ナカサコ」は何者だ? いろんなアングルから見てみる。

発想は思いつきじゃない。上手に発想するための手段がある。ぼくが提案したいのは「アングル」×「ツリー」という方法。今回はまず、「アングル」の説明から。「アングル」とは、複数の視点を用意し、独りよがりや思い込みから逃れること。実は、これ、結構難しいことなのです。話題の『伝わるしくみ』から特別連載。

『伝わるしくみ』山本高史
マガジンハウス

最強の発想法、「アングル」×「ツリー」

前回は、発想のために「アングル」×「ツリー」という方法を提案した。
新人時代の「コピー100本ノック」から生まれた、偶然の産物である。
これをマスターすれば、「伝え方」はもちろん、企画力も格段にアップすることはうけあう。

まずアングルから説明していこう。

「アングル」とは、複数の視点を用意しモノ・ヒト・コトを見る幅を広げ、独りよがりや思い込みから逃れ、発想の妥当性を確保する方法である。 一つのモノ・ヒト・コトを見るいろいろな視点、ということ。

その「アングル」を用いることには、2つのメリットがある。

①主観だけに頼るリスクを避けられること。
自分の見方の妥当性の確認ができること。

②視野広く幅を持って「ツリー」の起点を確保できること。 (ツリーについてはのちに詳しく)

まず、「主観」を疑うところから始めたい。

ぼくらはモノ・ヒト・コトを自らの主観で見て、考えている。あたりまえだ。それしか持っていない。
しかし一人ひとりの主観は、あくまでも一つの視点からだけの、 モノ・ヒト・コトへの見方・考え方だ。 つまり一方向からの偏った見方、「偏見」ともいえる。
ところがそんな「主観という偏見」をもって眺め、想像し、判断して、実行するこ とに、基本的には何の疑問も持たずに生活している。いちいちそれを意識することは 面倒くさいことだとしても、明らかな欠陥である。
ましてやコミュニケーションにおいては、「受け手がすべてを決める」のだ。 「受け手の考えるベネフィット」を推定するのに、送り手の主観だけが根拠ではうま く伝わる方がおかしい。

とはいえ、生まれてからずっとその「偏見」と生きてきたのだ。問題意識を持ちがんばったところで、なかなか直らない。まず自らの「偏見」を認識すること。そして それを遠ざける方法が「アングル」である。

ナカサコは何者だ?

「オレは偏見なんて持ってないよ」という人もいると思う。でも誰でも、知らず識らずのうちにやっちゃっているのだ。

ぼくの会社にナカサコという男がいる。 ぼくにとっては頼りになる部下であり、同じ職 場で働く仲間だ。 他の女子社員からすれば、(たぶん)かわいい年下の後輩。

● ぼくの友だちO氏からすれば、タカシのところの大阪から来た面白そうなヤツ。

● 彼が昔働いていたバーの客Pくんからすれば、東京に行ったサコちゃん。

● 大阪時代のバンド仲間Qくんからすれば、腕っぷしの強いドラマー。

● 近所の中華料理屋R軒からすれば、いつもたくさん食べてくれる上客。

● 両親から見れば、遠く離れて暮らす息子。

● 奥さんからすれば、(たぶん)最愛の夫。

● 隣の人から見れば、仲のよい若夫婦の人のよさそうなご主人。

● 通りすがりの人からすれば、やはり通りすがりの人。

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山本高史

「しくみ」がわかれば、簡単に言葉にできる! シンプルにして究極のルールを、クリエーティブ・ディレクター/コピーライター、関西大学社会学部教授でもあるコミュニケーションのプロが、満を持して公開。今までいろいろな本を読んでも まだまだ悩み...もっと読む

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