育児と介護の「ダブルケア」が夫婦にのしかかる
女性向け風俗のドアを叩く女性が増える背景には、未婚化・晩婚化に加えて、「ダブルケア」=育児と介護の同時並行に追われる夫婦の問題が隠れている。
約800万人の団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、年金・医療・介護の社会保障費が急増する2025年問題。厚生労働省の「社会保障に係る費用の将来推計」(2012年)によれば、2025年度の社会保障給付費は148.9兆円。2015年から30兆円近く増える計算だ。
認知症患者は約730万人に達し、65歳以上人口の約20%を占めるようになる。特養などの施設入所待ちの「介護難民」は膨大な数になり、介護現場では人手不足が深刻化。40万人近い人手不足が生じることが予測されている。
そうした中で問題になるのは、ダブルケアに追われる夫婦の増加である。きょうだい数の減少、女性の晩婚化・晩産化により、両親や義父母の介護、そして育児の負担が全て夫婦(あるいは妻側のみ)にのしかかるようになる。
ダブルケアによって生活時間の大半を奪われる夫婦が増えれば、夫婦間のセックスレスはますます常態化するだろう。セックスレスの背景には長時間労働の問題があるが、遅々として進まない「働き方革命」の現状を見る限り、2025年までに解決される見込みはない。
2015年に発表された第7回「男女の生活と意識に関する調査」(一般社団法人日本家族計画協会)によれば、既婚者の44.6%が「この1か月セックスをしていない」と回答している。10年後の2025年には、セックスレスの夫婦は確実に過半数を超えているはずだ。「しない夫婦」がマジョリティへと変化すれば、「する夫婦」はマイノリティになるだろう。
最大の問題は「基準の欠如」
パートナーとのセックスレスに悩み、女性向け風俗の利用を検討している女性にとっての一番の悩みは、「どこのお店に頼んでいいか分からない」ことだという。
店側が美しいデザインのホームページを作ったとしても、女性視点から見れば「ホームページなんて、いくらでもきれいにできる」と受け取られて、逆に警戒されてしまう。女性向け風俗の情報サイトに関しても、店側がお金を払えばいくらでも上位表示できるので、それもあてにはならない。
また大半の女性は、わざわざ体験ルポを書いてネットにアップしたりはしない。自分の気に入った男性セラピストは、他の女性に知られたくないという気持ちが働くのだろう。
最終的に、セラピストの個人ブログ(写メ日記)を読んで決める女性が多いそうだ。信頼できる店やセラピストは女性側から分かりにくいため、口コミを通して特定のセラピストに人気が集中する傾向があるという。和泉さんも一時期は予約が殺到し、50人待ち以上の状態(!)だったこともあったそうだ。
また男性向け風俗と同様、女性向け風俗の世界では、セラピストにとっても女性にとっても、性感染症が大きなリスクになっている。既婚女性の場合、女性向け風俗で性感染症に感染し、そのまま夫にうつしてしまったら、家庭崩壊の危機に陥ってしまう。
「性病以外のリスクとして、お客様から惚れられてしまうことがあります」と和泉さんは語る。恋愛経験のないままお見合いで結婚した女性は夫以外の男性を知らないため、プロの技を全身で味わってしまうと感情移入が起こってしまう。
「女性客がセラピストを育てる」世界
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