大阪・ミナミに行くといつも感じることがある。東京が失ったどこか猥雑で淫靡な空気。煽情的な看板、ド派手な店構え、客引きのお兄さん、お姉さん、そして酔客がそれらを冷やかして歩く。この界隈で“発明”された水商売がやがて東京に流れてくることも多く、俺にとっては夜遊びの教科書的な街だ。
とりわけ人で溢れる宗右衛門町界隈を流していたら、目に飛び込んできた遊郭風の佇まい。角地に白提灯に暖簾、そして朱色の引き戸、酔客や観光客が足を止めている。はて、ここは飛田か松島か!?
クラブやキャバがひしめく宗右衛門町界隈の角地に突如現れる異空間。多くの酔客や外国人観光客が足を止める
格子の中で花魁姿の女のコが手招き……
ガラガラと引き戸を開けると、目に飛び込んできたのは「張見世」と呼ばれる格子。その中には一段高くなった畳敷きの部屋があり、そこをぐるりと囲んだカウンターに座ると、盛装した遊女たちが、手招いてくる。ここは遊郭を模したガールズバーなのだ。
豪華絢爛な太夫たち。写真左下から時計回りに紫穏(しおん)ちゃん(23歳)、いのりちゃん(22歳)、雛鳥ちゃん(22歳)、ちはやちゃん(20歳)
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