関係者が5人も10人もいるインタビュー
先週、ニューヨーク在住のライター・佐久間裕美子さんと東京でトークイベントを開いたら、あちらで著名人にインタビューする時には、喫茶店なり場所を指定され、本人が1人でふらっとやってくることもある、と聞いて驚いた。それなのに、日本では関係者が5人も10人もいることがあって……と続く。あれ、やりにくいですよねと、しきりに頷く。そういう感じになりそうなインタビューの仕事をなるべくしないようにしているし、もはやその手の依頼がこなくなったとも言えるのだが、当人が前のめりに喋った瞬間から、当人の機嫌を良くするためなのか、周囲が条件反射的に笑い始めるような場が、本当に苦手なのである。
この手の「上機嫌キーパー」は、メディアのあらゆるところにいる。彼らが、その過剰な同意っぷりをどこまで自覚しているのかは定かではない。とにかく笑い、とにかく感心する。笑い飽き、感心し飽きると、唐突にパソコンを開いて、自分の事務作業に没頭し始めたりするので、この人はどういう心算で仕事をしているのだろうと首をかしげるものの、連日、何本も繰り返されるインタビューのそれぞれに丁寧に反応するほうがしんどいはず。だったら、最初の笑いと感心からナシでいいのに、と思う。あのルーティーンを少しでも減らす方法はないものか、と頭に置きつつも、自分でいちいち注意して回る余力などない。
気分が悪いという表情を隠さない羽鳥慎一
朝のワイドショーを見ながら、久々に「うわっ」と声を出した。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で、テレビ朝日コメンテーター・玉川徹とウーマンラッシュアワー・村本大輔との対話が放送された。主に政治的課題をテレビがどう伝えるかとの話をした上で、今のテレビは、不安を解消するための道具、安心させるための道具になっており、真実を伝えるものになっていない、と忠告したVTRが終わると、玉川から感想を問われた羽鳥が、とっても不快、という表情を隠さずに、「それ(不安を解消する道具)じゃダメなんですか?」とぶっきらぼうに答えた。
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