社会を変える“希望”の本質—マーシャル・ガンツインタビュー 後編

オバマ大統領の選挙参謀を務め、圧倒的不利だったオバマを勝利に導いたマーシャル・ガンツさんのインタビュー後編。今の考えに至るまでの過程や驚きの選挙戦略立案の裏側、最後にはガンツさんが考える「希望」についてお話を伺いました。多くの示唆に富んだお話は、何かに一生懸命に取り組む誰にとっても刺激的。必読の後編です!

公民権運動に取り組んだ理由

加藤 次に、ガンツさんご自身のお話を伺いたいのですが、ハーバード大学を中退して公民権運動に身を投じたのはなぜなのでしょう?

ガンツ 一番大きな理由は、私が21歳だったということでしょうか(笑)。そもそも公民権運動は若者が中心となってやってきた運動だったんです。公民権運動の中心にいたキング牧師が、最初に人種差別に抗議する大きなキャンペーン(モンゴメリー・バス・ボイコット事件 )を行ったのが25歳でした。我々の運動もキング牧師と同じ25歳ぐらいの人たちが中心に行われていました。年齢が近く、価値観を共有している人たちが、行動をともにした。まさに、社会と世代の変化を表現するのが、公民権運動だったということです。

加藤 日本の学生運動と同じように、若者の力が集まったんですね。

ガンツ それと、私個人の話をすると、父親はユダヤ教のラビ*1で、母は教師でした。私たちの家族は第二次大戦後の1946年から49年までドイツに住んでいたのですが、父はホロコーストを生き延びた人たちといろいろな仕事をしていました。そこでは戦争によって人生をめちゃくちゃにされた人たちが、何とか希望を見出そうとしていました。私はまだ子どもでしたが、そのような人たちと大勢出会いました。5歳の誕生日は、遺児になった子どもたちが避難生活しているキャンプで一緒に祝っています。そのときは子どもがいっぱいいて嬉しいな、と思っていたのですが、今思えば、そこにいたのはみんな両親が殺されていた子どもたちだったんですね。
私は両親から、「これは、反ユダヤ主義の結果ではなく、人種差別の結果なんだ」と教えられました。人種差別は、殺戮すら招くのだ、と。人種差別が起きると、人間がモノになってしまうんです。公民権運動は、このような人種差別に反対するために行なった運動です。

*1 ユダヤ教の学者であり、コミュニティの指導者。日本の神社の神主や寺の住職のような存在。

加藤 なるほど。ガンツさんの家族や生い立ちから受けた影響があるんですね。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
オバマを大統領にした「パブリック・ナラティブ」

マーシャル・ガンツ /cakes編集部

2008年のアメリカ大統領選挙の選挙参謀として、バラク・オバマを勝利に導いた男・マーシャル・ガンツさん。資金力も大きな支持基盤もなかったオバマ氏を、いかしにてアメリカ初の黒人大統領にすることができたのか。そこにはガンツさんが生み出した...もっと読む

関連記事

関連キーワード

コメント

oyamakumao 【告知】構成しました。なので最後まで読めますよ。 5年以上前 replyretweetfavorite

oyamakumao 【告知】構成しました。なので最後まで読めますよ。 5年以上前 replyretweetfavorite