こころを使いこなすこと」こそが仕事で重要な理由

日々の仕事がうまくいかないとき、知識やスキルの不足が原因だと考えていませんか? もちろんそれらの技術も大切ですが、どれほどスキルを持っていても、日々の意思決定を鈍らせる心の問題にうまく対処できないとせっかくの力もうまく発揮できません。Twitterでも人気の「とくさん」が、すべてのビジネスパーソンに向けて「こころの使いこなしかた」をご紹介します。

cakes読者のみなさんはじめまして、「とくさん」と申します。

私は現在外資系ソフトウェア企業で働いているのですが、個人として「とくさん」の名前でTwitternoteを通じて経営からハイテク業界のこと、そして育児まで、日々考えていることを幅広く発信しています。

Twitterのフォロワーも24,000人を超えて、「いつもTwitterやnoteを読んでます!」と嬉しい反応も多くいただきます。そして、ある日、cakes編集部の井澤さんよりメールをいただきました。普段からTwitterやnoteを読んでおり、若い社会人の方の指針になるような連載をcakesでお願いしたい、とのこと。

そこで、考えました。さて、どんな内容がいいだろう、と。その時すぐ頭に浮かんだのは「心のこと」についてです。私の人生を長い間支配し、苦しみ抜いてきた問題について。


心を使いこなすことで道を切り開く

昨年noteで「15年間「不安」に苦しんだ私がいま本気で作りたいものとは何か?」という記事を書きました。浪人時代の「ある日」から常に不安に苛まれ悩み苦しんできたこと、それを認知行動療法のカウンセリングを受けることで克服していったこと、その方法論をもっと多くの人に知ってもらうために動き出したこと。

この記事を通じてもっとも伝えたかったことは、心の問題にうまく対処できないと仕事もうまくいかないし、せっかく持っている力も発揮できないということです。

例えば「上司の反応が怖い」とか「締切までにこの仕事を終わらせられるだろうか」とか「これをやるのは恥ずかしいな」といったさまざまな感情が原因で、せっかくきちんと準備に時間を使いながら、期限までに資料を完成させられない、などの失敗をしてしまう例はとても多いです。でも、そういう仕事の失敗を自分の心の問題に結び付けられる人はすごく少ない。

そして、多くの人は仕事ができないのは知識やスキルが足りないからだと考えたりしてしまう。だからベストセラーのビジネス書を買ってきて読んだり、資格取得に走ったりします。

でも、いくら知識やスキルをたくさん持っていても、「上司が怖い」「顧客が怖い」という感情に対処する方法を身につけていなければ、それらを活用することはできません。
ここは私が受験、就活、転職といった人生の転機で常に失敗してきた最大のポイントでした。真面目に勉強したり、いくら周到に準備を重ねても、いざ本番を前にして「不安」の感情に翻弄されて、本番で実力を出せなかったら全ては水の泡です。努力の「過程」はそこでは問われませんから、残るのは無残な結果だけ。これはキツかったです。

でも、30代半ばに認知行動療法の存在を知り、カウンセラーの方の力を借りながら粘り強く実践してその手法を身につけることで、人生を好転させることができました。

コンサルでリストラ寸前に追い込まれ、間接部門に飛ばされたところから、数千億円規模の事業のターンアラウンドに深く関わり、COOやCFOと共に事業戦略作りから実行まで担い大きな成果を出すことができました。さらに上海に駐在し、世界のビジネスの最前線で多国籍の人材と働く貴重な機会も得ることができました。

これらの仕事はきわめてタフで、日々緊張を強いられるストレスの高い仕事でしたが、身につけた方法を駆使して、すぐ不安になってしまう自分の心の問題に対処することで、仕事に全力で集中することが可能になったのです。

この連載ではその過程を振り返りながら、もっと多くの人に気軽にこの「技術」に親しんでもらうこと、使いこなせるようになること、を目指します。ただ、私は専門的な心理学の教育も受けていませんし、もちろんカウンセリングのプロでもありません。なので、あくまで一人の「ユーザー」として、日々仕事や私生活で感じるストレスをどうやったらうまく処理していけるかについて、自らの体験や実践を通じて分かりやすく伝えていければと思っています。


「メモすること」がすべてのはじまり

では、どうやるのか? とてもシンプルですが「メモすること」が全てのスタートになります。

メモ?と皆さん感じると思うのでまずは例を出したいと思います。私がiPhoneのEvernoteアプリに実際につけていたメモです。

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状況: 目覚めが悪く、朝から体が重い。気持ちも冴えない。恐らく今リードしている仕事の進め方に金曜日少し部門長が不満そうだったから、先行きに不安を感じている。
考え: 仕事進める上で色々障害が多そう。あとスピードも求められているぽい。失敗することやうまく進まないことを考えると憂鬱だ。
感情: 不安(70) 無気力(70)
対応: 姉夫婦が来ていたので夜食事だったが、その前になんとか気分を晴らすために5キロ走る。ただあまり気が晴れず、食事の時もなんかイライラしていた。


私はとにかくあらゆる場面ですぐ「不安」が押し寄せるタイプでした。まさにこのメモもそうで、金曜日のミーティングでの部門長の不満げな様子が頭から離れずそれを週末までずっと引きずっていたことがよく分かります。

これはまさに「思考のクセ」と呼べるもので、私はどんな状況でもわざわざ不安になる要素を「見つけてきて」、それを巡って堂々巡りで悩み続けて、結果として仕事する気力を失っていく、という負のサイクルを繰り返していました。

でも、いま振り返って冷静に考えてみると、ここでの部門長の不満げな様子というのはそこまで深刻なものではありません。ちょっと自分と考え方が違うかな、くらいのものです。上司からのそのくらいの反応は普通で、それで別に私の評価が変わるものでもないし、仕事を進める上での影響も特にはないはずです。

そして、そこが認知行動療法のプロセスにおける「コア」になります。

自分が悩んでしまう状況の「瞬間を切り取って」、そこでの自分の感じ方をメモしておきます。これを繰り返し続けることで、自分がはまりやすい悩みのタイプや歪んだ捉え方などの「傾向」をだんだん客観的に掴むことが可能になってきます。

その結果、この例で言えば、「まあ上司はああ言ってるけど、自分の進め方は間違ってないはずだしそのまま成果が出るまで頑張ろう」というように、前向きな捉え方をして適切な行動を取っていくことが可能になります。実際のところ、いまの私はこうしたストレスがかかる状況に直面して不安を感じても、いったんその状況を俯瞰的に捉え直して「まあそれほどやばくはないか」と考えて前向きなアクションを取ることが普通になりました。

方法論としてはわりとシンプルですよね? ただ、自分の「認知の歪み」に気づき、それを修正していく、というのは実際はなかなか大変です。私も2年間くらい地道にやり続けて身につけることができました。なので、この連載では、私に実際に起こったリアルな経験や試行錯誤に具体的に触れながら、ユーザーとして実践していく上ではどこがポイントなのか、これを身につけると(仕事や私生活で)どんな良いことがあるのか、といったことを分かりやすく伝えていきます。

自分の少し歪んだ思考のクセが原因でせっかく持っている潜在的な力を発揮できない、というのはとても悲しいことです。私もそのことが原因で本当に長い間つらい思いをしてきました。もっと多くの人が悩みの堂々巡りから抜け出して、自分がやりたいと思うことを自分のペースでやれるようになってほしい。このcakesの連載を通じて少しでも多くの人にこの思いが届き、皆さんの変化の一助になれるようがんばりたいと思います!

<次回は3月11日(月)に更新予定です>

Photo by Helloquence on Unsplash


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この連載について

こころを使いこなす技術

とくさん

日々の仕事がうまくいかないとき、知識やスキルの不足が原因と考えていませんか? もちろんそれらの技術も大切ですが、どれほどスキルを持っていても、心の問題にうまく対処できないとせっかくの力もうまく発揮できません。どんな仕事も意思決定の連続...もっと読む

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コメント

ryokachii 具体的な話についてはとくさんの記事がとてもわかりやすいです 17日前 replyretweetfavorite

toysleft https://t.co/95ulVNXYQJ 23日前 replyretweetfavorite

pigchin @aoi_final_indd まーね。 これ当てはまるなら読んでみたら。https://t.co/ZKaZ9UGRLX 23日前 replyretweetfavorite

IWG このスキル、知り合いの安定感ある人は傍から見て出来てる気がする。少し真似てやってるけど、効果はある。 https://t.co/mri7eY324i 約1ヶ月前 replyretweetfavorite