晶はずっと考えていた。
見た目が綺麗であることはそれだけで価値がある。
昔、クリスチャンだった母に連れられて毎週沖縄のある街の教会に通っていた。
その場に集まった大人たちから晶はいつも褒めそやされていた。
まるで西洋画に出てくる天使のような見た目だった晶は、そこで清純無垢なものを見るように愛でられていた。
しかし、自分が清純無垢じゃないと、早くから気づいていた晶にとっては、こうした周りの反応はとても好都合なものだった。
神様が晶に命を与えるときに「じゃあ、ちょっと美人にこしらえといてあげたからね」ってオマケ程度に顔の造作を作ってくれた程度のことだと晶自身は思っていたが、神様が気まぐれに与えた美貌は成長するにつれ思った以上に役に立った。
神様はどういうわけだか、人間それぞれの顔を特徴ある形に作り変えた。
よくよく見れば、同じ姿かたちの人間なんていない。目、鼻、口は機能は同じでも、姿かたちは微妙な差異があり、その差異のバランスだけで美醜が判断される。
骸骨にしてみたら、きっと見分けがつかないだろうに、その周りの肉付きで印象も性格も変わる。 目蓋の上に肉が1㎎でも多くのっていたら、目つきが悪く人から良い印象を持たれない。
観相学なんて言うインチキな占いでは、人生まで決められちゃう。
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