晩酌歳時記

第二十三回・冷奴

「ウナ・コピータ・マス」=「もう一杯!」、学生時代に習ったスペイン語で覚えているのはこれだけ。そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。猛暑日が続きますが、暦の上ではまだ小暑。どこが「小」だよと思います。

冷奴・ひややっこ—語源については「ヒャッコイ」という俗説があるが、温めた豆腐も温奴、煮奴と呼ばれる。江戸時代の大名行列の先頭に「槍持奴」というお役があり、通称「奴」。その半纏に四角い紋がついていて、四角い豆腐の呼び名になったという説が有力。ごはんのおかずというよりは酒肴に向いており、俳句歳時記によると「もちろん酒はビール」。

 よくわからない季語について調べて知識を得るのも歳時記の「使い道」ですが、知っているもの、馴染み深いものについて、先人がどんな句を遺しているか、共感したり意外性を発見するのも楽しみの一つです。
 たとえば〈うすまりし醤油すヾし冷奴〉。豆腐から皿に水が染みでる感じ、そこに醤油が混ざりあう感じ。あれを「涼し」と表現したか。なるほどねえ。作者の日野草城は他にも〈心太煙のごとく沈みをり〉など、さりげない句風が印象的です。

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晩酌歳時記

佐藤和歌子

季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。

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コメント

sadaaki 佐藤和歌子さんの晩酌歳時記もありますよ。そうか、暑いところでたべる冷奴っておいしいんですね。ビールとかモヒートとかもそうだから、言われてみれば納得。 約5年前 replyretweetfavorite