ウミサチ・ヤマサチの物語とウカヤフキアエズの誕生
兄のホノスソリ(ウミサチ)は本来、海の幸を得る能力があり、弟のヒコホホデミ(ヤマサチ)は山の幸を得る能力を持っていました。
あるとき兄弟は、試しに道具を交換してみようということになりました。でもどちらも獲物を捕ることができませんでした。兄は後悔して弟に弓矢を返し、自分の釣り針を返すように言いました。ところが弟は、兄の釣り針をもう失くしていて、探しようも ありませんでした。
それで新しい釣り針を作って兄に渡しました。しかし、兄は承知しないで、元の針を返すように責めました。弟は気に病んで自分の太刀を溶かして新しい釣り針を作り、箕(み)※1にいっぱい盛り上げて渡しました。兄は怒って、
「私の元の釣り針でなければ、どんなにたくさん作っても決して受け取らない」
とますます弟を責め立てました。ヒコホホデミは憂い苦しみ、海辺に行って呻うめいたり溜息をついたりしていました。
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