天孫降臨(てんそんこうりん)とコノハナノサクヤヒメ②
(前回参照)
その後、タカミムスヒはまた、神々を集めて、豊葦原中つ国に遣わす者を選びました。神々は皆、言いました。
「イワサクネサク(磐裂根裂神)の子のイワツツノオ(磐筒男)、イワツツノメ(磐筒女)が生んだ子・フツヌシ(経津主神)が良いと思います」
このとき、天岩窟(あまのいわや)に住んでいるイツノオハシリ(稜威雄走神)の子・ミカハヤヒ(甕速日神)の子・ヒノハヤヒ(熯速日神)のそのまた子・タケミカヅチ(武甕槌神)が進み出て言いました。
「どうして、フツヌシだけが丈夫(ますらお)※1で、私は丈夫ではないのですか」
その語気は大変激しかったので、フツヌシにタケミカヅチを副(そ)えて豊葦原中つ国に派遣しました。
フツヌシとタケミカヅチの二柱の神は、出雲国の五十田狭(いたさ)の小汀(おはま)※2に降(くだ)って行って、十握剣を抜いてさかさまに砂浜に突き立て、その剣の切っ先に胡坐(あぐら)をかいてオオアナムチに問いました。
「タカミムスヒはその皇孫を降臨させ、この国に君臨させようと思っている。それでまず我ら二神を遣わして邪神をはらい、平定させようとしたのだ。あなたの気持ちはどうなのだ。国を譲るか否か」