古典文学の楽しみ方vol.1
古典って、読んだ方がいいって言われるけど、いっぱいありすぎるわ、いったい何から読めばええの……。と、思いますよね。思いませんか。
本屋さんにずらっと並ぶ新潮文庫の海外文学コーナー。あるいは角川ソフィア文庫棚(こっちは日本の古典)。岩波文庫は自分の本棚に並んでりゃかっこいいけど、何から読みたいのかわからない! うん、まじでそれ! 基本的に本って「自分に何が合うのか」わからないし、だからこそ楽しいんだけど、最初の一歩が踏み出しづらいもん!
でもね。古典って、予めあらすじなり勘所なりを掴んでおけば、難解な現代文学よりもよっぽど読みやすいとわたしは思うんですよね……。
ちょっと時代背景なり作者の傾向なりを知っていると、「あーこの作品、こういう性格なのねーうん、わりと私と仲良くなれそう~」と感じるかもしれない。
だからこそ、わたしは古典の! 楽しみ方を! がんがん! 布教したいわけです!!
だって、そこに仲良くなれそーな読者と作者がいるのに、ほっておくのはもったいないじゃないですか。本好きとしてはお見合いおばさん化しちゃうわ。
そんなわけで、先週から始まった「現代」文学の流行を追っかけるレポートと並行して隔週で、「古典」文学の楽しみ方をレポートする連載が始まります~!
「古典」と呼ばれる小説を現代でおもしろく読むにはどうしたら? 古典って読んだ方がいい気がするけど、しょーじき何から読めばいいのかわからねぇ。だれかわたしに合いそ~な小説を教えてプリーズ! と思うあなたにお届けしたい、古典小説の楽しみ方をレポートしてゆきます。れっつごー。
『日はまた昇る』アーネスト ヘミングウェイ (著)高見浩(翻訳)
(新潮文庫)
はい、ということで今回はヘミングウェイ先生の『日はまた昇る』です。なんでヘミングウェイ先生かというと、わたしが高校生の頃読んでよくわからなかった作家だからです。
ヘミングウェイ、って名前は聞いたことあるし、かっこよさげで読みたいんだけど、でも読んでみると何が言いたいのかわからない。
でもね、今ならちょっとわかります。ヘミングウェイが何を言いたいのか。大人になったから。
頭に入れてほしいポイントは~~~以下の三点!(予備校風に読んでね!)
【ヘミングウェイを読む前に覚えておきたい三項目】
①お酒を飲めるようになってから読みましょう。
②ヘミングウェイは、ロスジェネ世代なんですよ。
③「人生けっきょくすべて過ぎ去る」感じが『日はまた昇る』。
①お酒を飲めるようになってから読みましょう。
いやほんとこれ。高校生の時に読めなかったの、確実にこれ。ていうか高校生でヘミングウェイを耽溺してる子たちは完全に早熟やろ。すごすぎ。
『日はまた昇る』って、異様にお酒を飲むシーンが多いんですよ。もうず~~~っとお酒飲んでる。種類はビールブランデーカクテルワインなどなどなど。つねに食べるか飲むかしすぎやろ! だからヘミングウェイ先生は糖尿病なんや!
でも、「お酒を飲んで友達とぐでぐで人生について語る」とか、「お酒パワーで男女がやらしい感じに接近」とか、「お酒によってやたら虚無感を覚える深夜」とか、自分が大人になってみれば「あ、ある~~~よなこういうこと……」と頷いてしまう。めちゃめちゃリアル、というか作者これ実話やろとつっこみたくなる台詞もある。
だからこそ、お酒を好きじゃなくてもいいんですけど、居酒屋とかバーの雰囲気がわかるお年頃になってからのほうが『日はまた昇る』を楽しめる……のではないでしょうか。
②ヘミングウェイは、ロスジェネ世代なんですよ。
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