一番手になれないなら、いちばんケツでいい
──最後に、今後の話を聞いていきたいんですけど。
山口 そうそう、それがいいよ。オレ、過去に戻りたい願望もないし、昔は良かったとかも思わないタイプなのよ。常に今がベストっていうかさ。やっぱり、人間、過去にピークがあるのは良くないよ。常に「これから」。だから童貞っつーのもあんのよ。
──今後もネットは使わない方針ですか?
山口 そうだな。オレ、スマホ持たなくて正解だよ。自分大好きだから、ずーっとエゴサーチしてると思うもん。見れないぐらいがちょうどいいよ。もしオレがスマホ持ってたらネットに一日中自撮りあげてるだろうな。
──SNS中毒とかになってそうですね。
山口 なってるな。コンピューターなんてドラッグカルチャーから出てきたもんだから、中毒性はあるんだろうな。だから今ぐらいの、SNSを管理してくれる人がいるぐらいの距離感がちょうどいいよ。そういうものには謙虚でありたいっていうのは常にあるね。
──その謙虚さは逆に不気味ですよ。
山口 これ、オレが昔っから思ってることなんだけど、世の中から一歩や二歩ズレてるとカッコわりーけど、10歩ぐらいズレてると一周回って最先端になる可能性もあるのよ。だからなるべく音楽とか、映画とか、文化に関しても、周りがもてはやしてるものとは常に距離を置くようにしてるんだよ。だってオレ、やっと最近『マッドマックス 怒りのリローデッド』観ましたからね。
──リローデッドが付くのは『マトリックス』ですよ!
山口 あ、そうか(笑)! 『マトリックス』シリーズも公開から10年ぐらい経ってブームがきたからね。真面目なことを言うと、オレはたぶんスポイルされる怖さを分かってたんじゃないかな、と思うのよ。パソコンもケータイも持たない、っていうのはそういうことでもあるんだよね。
──世の波に無理して乗らないっていうのは前も話してましたね。
山口 一番手になれないなら、いちばんケツでいいんだよ。高校の時から成績もケツだったけどな。
──たしかに、遅れまくった人には注目集まりますね。マラソンとかでも。
山口 そうだろ? 運動会でもケツだったな〜。
──そうすると逆にみんなが拍手で迎えてくれたりしますもんね。
山口 そうそう。親が写真撮って「一等賞みたいだ」って言ってたよ。周りに誰もいないから(笑)。
──ハハハハ。そのぐらい無理しない生き方はいいですね。
山口 そうだよ。みんな頑張りすぎだよ。童貞も、頑張って捨てようとしない。
──その結果が現状ですもんね。
山口 オレが20代の頃って、とにかく頑張ってセックスするようなことがもてはやされてた時代でさ。『ホットドッグプレス』とか、いかに女にモテるかって本ばっかで、ああいうの大嫌いでさ。そんなの女に失礼だろ。女はそんなにバカじゃねぇーよっていう。
──そういう文化へのアンチがあったんですね。
山口 そうなのよ。
童貞だけど、すでに挿入してる
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