アメリカのリベラル著名人による「こんまり」批判騒動

『人生がときめく片づけの魔法』の著者、「こんまり」こと近藤麻理恵さん。現在、アメリカでも大人気の彼女ですが、先日、ある進歩的な社会批評家が行なったこんまり批判に非難が集まっています。アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんは、この騒動を通して誰もが無意識に偏見や差別をもっている可能性があることを指摘します。

SNSで炎上した「こんまり」批判

著名な女性コラムニスト・作家のバーバラ・エーレンライクが、アメリカで「お片付けのグル(尊師)」として有名になった近藤麻理恵さん(以降「こんまり」と呼ぶ)を揶揄するようなツイートをして、「人種差別だ」と炎上する出来事があった。

アメリカでのこんまりブームがどんなに大きいものかは、以前「賛否両論の中でも『こんまりの片づけ』が世界中で大ブレイクする理由」というコラムに書いた。英語をほとんど話さないこんまりがNetflixの新番組で超がつくほどの有名になったことなども詳しく書いているので、エーレンライクのツイート炎上の背景に興味がある方は、できれば読んでみてほしい。

こんまりに関するツイートが炎上したバーバラ・エーレンライクは、80年代から90年代にかけてはアメリカ民主社会主義(Democratic Socialists of America)の中心的存在だった。ウエイトレスやホテルの掃除婦、ウォールマートの店員など低賃金の職を3ヶ月自ら体験して書いた『ニッケル・アンド・ダイムド – アメリカ下流社会の現実』が代表作で、現在でも政治的に「プログレッシブ(リベラル左派の急進派)」の活動家だ。アメリカのリベラルは、トランプが率いる共和党や右よりの保守とはことなり、通常は多様性や人権を重視しているとみられている。エーレンライクにはリベラルなツイッターのフォロワーが多く、6万5千人を超えるインフルエンサーでもある。

問題になったエーレンライクのツイートは次のものだ。
「我々のお片付けのグルMarie Kondoが英語を話せるようになって初めて私はアメリカが衰退の道をたどっていないと認める(I will be convinced that America is not in decline only when our de-cluttering guru Marie Kondo learns to speak English)」

それに対して「人種差別だ!」という反応が多かったためか、エーレンライクはこれを削除して新たに次のようなツイートをした。

「白状しよう。私はMarie Kondoが嫌いだ。美学的見地では私は散らかっている側の人間だから。言語に関しては、膨大な数のアメリカ人の視聴者に対して彼女が英語を話さなくても私は別にかまわない。だが、それが超大国としてのアメリカが衰退していることを示唆しているのは確かだ(I confess: I hate Marie Kondo because, aesthetically speaking, I’m on the side of clutter. As for her language: It’s OK with me that she doesn’t speak English to her huge American audience but it does suggest that America is in decline as a superpower)」

だが、修正したツイートも、エーレンライクの差別心を露呈しているとして、さらに批判が増えてしまった。


進歩的な社会批評家でさえ人種差別してしまう可能性をもっている

エーレンライクのツイートの根本的な問題は次のような彼女の思い込みにある。

1. アメリカのネイティブ言語は英語である。
2. したがって、アメリカに来た外国人は英語を話すべきだ。
3. 外国人が英語を話さずにアメリカで仕事ができるというのは、英語を話すことを外国人に強要できなくなったアメリカの力が弱っていることを示している。

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コメント

sisoro Reading... 5日前 replyretweetfavorite

nori_ameblo 進歩的な社会批評家でさえ人種差別してしまう可能性をもっている 6日前 replyretweetfavorite

shunkuriyama -- ちょっと方向性は違うけど. 6日前 replyretweetfavorite

motimotimo どこの国もリベラルって実際はこんな感じなのか…(すっとぼけ) 6日前 replyretweetfavorite