疲れた心を癒す3つのステップ

「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄先生が10代(と、そして大人)に贈る、心の疲れをラクにする方法。朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になっていませんか? 人間関係、勉強、家族、容姿…ストレス社会で生き延びる技術を紹介します。『10代のための疲れた心がラクになる本』をcakesで特別連載!(毎週火曜・金曜更新)

はじめに

「上を向こうよ」
 ぼくはよく言います。
「つらくて、もう行き場がないと思ったら、空を見上げてごらん。
 八方ふさがりだと思っても、空はスコーンと空いている。
 だから上を向こう。
 上に向かって跳ぼう。
 逃げたいときも、上に向かって逃げればいいんだ」と。

 この本は、君に上を向いて一歩踏み出してもらうための本です。

 □ 心がざわつくこと、つらいことが多くて、イヤな気分に押しつぶされそう
 □ 朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になる
 □ 笑うことができなくなっちゃった
 □ 自分のことをわかってくれる人がいない、ひとりぼっちだと感じている

 こんな人に読んでもらいたいと思って書きました。
 大人の方たちだけでなく、思春期真っ盛りの君たちにこそ、ぜひ読んでほしいと思っています。

 ぼくは、北海道帯広市で精神科のクリニックを開いている医師です。
 心に深い悩みをかかえ、それが病気の領域に達してしまった人たちがやってきます。
 必要があれば、もちろん薬を用いて治療することもありますが、ぼくは、できるだけ薬なんかに頼らないほうがいいと考えています。そういう方針のもと、いろいろなアプローチを試みて、その人に向いた治療法を見つけ出していきます。
 心の病は、自分自身が本気で「治そう」という気持ちにならないと、快方には向かいません。
 ようするに、自分自身の「治すんだ!」という強い意志が必要なのです。
「大切なのは、知識、心構え、行動、この3つです」
 ぼくは患者さんに言います。
 理解できない患者さんには、付き添っている方にしっかり伝えます。
 (1)まず、「この病態はどういうものか。なぜこうなってしまったのか、これを治すためにはどういう方法があるのか」といったことを正しく知る
 (2)次に、だれかに「なんとかしてもらう」のでなく、自分で「よくしていくんだ」という心構えをもつ
 (3)そして、治していくために必要な行動を起こす
 この3ステップが大切なのだと理解してもらうのです。

 知識を得れば「そうか、こうすればいいのか」とわかる。知らないために何もできずにいるということが、けっこうあります。
 精神科のクリニックに駆けこむことになる人は、心がもう切羽詰まったところまで追いつめられています。では、そうなる前に自分で何か対応策をとっていたのか、少なくとも本やネットで自分の症状についての知識を得ようとしていたのか。それすらしていない人がいるのです。
 自分でなんとかすることをあきらめている。医者に診てもらえば、マジックのように治してくれると思っているのかもしれません。
 その姿勢では、残念ながらよくなっていきません。
 でも、そういう人も、知識がつくと、自分の病態に向き合う姿勢が変わります。
 そして心構えができたら、「このやり方で治していきましょうね」と相談して、行動に移してもらうのです。

 上に向かって跳ぶ方法、行動の仕方はいろいろです。
「君はいまの環境にいたら、家族に押しつぶされてしまうよ。逃げ出しなさい」
 そう言ったら、家を出て跳び上がり、自立を始めた人もいます。
 都会に暮らしている人が「心がボロボロです、疲れました」と言ってきたので、「帯広は自然がいっぱいだよ。おいしいものもいろいろあるよ」とぼくが話したら、仕事を休んでまさに跳んできました。
 その人は1カ月ほど大自然のなかでゆったり過ごしていたら、すっかりよくなって元気に帰っていきました。
 心構えといっても、肩ひじ張った臨戦態勢にならなくていいのです。
どうすることが自分自身をラクにするのか、心の声を聞いて、一歩踏み出せばいいのです。
 行動に移せば、状況は変わります。

 この本は、二部構成になっています。
 前半の第1章~第4章は「知識編」。
 生きづらさをかかえた君に知ってもらいたい知識をまとめました。
 後半の第5章~第8章は「チャレンジ編」。
 どういう心構えをもち、どういう行動をすると状況を打開できるか、その具体的な方法をまとめました。
 心がパンクしかけていても、自分で自分の心をセルフケアできるようになると、ラクになります。生きやすくなります。
 これを読んだら、小さなことひとつでいいから、何か実践してみてください。
 小さな一歩を踏み出してほしいのです。
 上に跳んでみてほしいのです。
 君が心から笑えるようになり、いまよりラクに、楽しく、はつらつと毎日を過ごせるよう、心からエールを送ります。


<次回は2月15日(金)更新予定>


「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄医師の最新刊、好評発売中!

この連載について

10代のための疲れた心がラクになる本

長沼 睦雄

「敏感気質(HSP/HSC)」の第一人者・長沼睦雄先生が10代(と、そして大人)に贈る、心の疲れをラクにする方法。朝起きると「また一日が始まる」と、どんよりした気分になっていませんか?人間関係、勉強、家族、容姿...ストレス社会で生き...もっと読む

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コメント

ivkky 確かにどうしたらじぶんがラクになるかを考えるの大事だよな。 4ヶ月前 replyretweetfavorite

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