ワタナベアニです。あまり複雑なことを考えられないタイプなので、写真を撮るときもできるだけ状況をシンプルにしています。どこで何をしているのかを説明するのが好きじゃないのかもしれません。この人はここで何をしているんだろう、と想像してもらえる方が楽しいのです。
黒バックは完全に情報をシャットアウトしているから、否応なく人物が目に入ってきます。背景はあっても、出来事のしつこい説明になっていなければよしとします。
イタリアのある街で、いい雰囲気のレストランのお兄さんがいました。「この店で働く初日なんだ」と言っていました。黒バックを使おうと思っていましたが、せっかくの記念日なので店の雰囲気が感じられる場所で撮りました。
写真を撮るのに慣れると、人物に集中する目を背景にも振り分けられるようになっていきます。人物と背景のバランスがうまく取れていると、物語を感じるいい写真になります。それを学ぶには、意外ですけど報道写真が参考になります。ニュースの主人公がどこで何をしているのかを一枚の写真に閉じ込めているからです。日本はこの分野でかなり欧米に後れを取っていると感じます。
この人はこういう人である、と写真で伝えるのなら、ポートレートであろうともジャーナリズムの目は必要なんですよね。
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