桃山商事の恋バカ日誌

電車内でナプキンを替える母親を結婚相手に紹介できるわけない!

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、新感覚の恋バナ談義を繰り広げるこの連載。「恋愛と親子関係」というテーマの最終回となる今回は、ワッコさんのやばい実家のお話です。料理の担当は父親など、リベラルな良い家庭環境だったのかと思いきや、実は母親がとんでもない人だったようです。

「ふつうの女性」をディスりまくる母親

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田 桃山商事の恋バナ連載、今回は先月から全4回に渡ってお届けしている「恋愛と親子関係」の最終回です。

森田 前回の「彼氏の実家で唖然!過干渉な母親とスリープモードな息子」では、カレシの母親に「うちの息子にちゃんと食事つくってあげてるの!?」とカマされてる女性の話が出てきた。

清田 そこからワッコの実家の話になったんだったね。お父さんが家事担当だった。

ワッコ うちの両親はどちらも高校教師で、母親は全日制の普通高校、父親は定時制で働いていたんですね。だから昼間家にいる父が料理や洗濯をしてました。それもあって、「女が家事をやるべき」みたいな意識は刷り込まれませんでした。

清田 リベラルな雰囲気のある、よさそうな家庭環境だけど。

ワッコ いや、それが全然そんなことはなくてですね。一番の問題は、母親が、その……放送禁止用語の4文字でしか言い表せないような人なんです。

森田 差し支えなければ、詳細を話していただければと。

ワッコ たとえば、母はいつも、父がつくり置いた夕飯を食べて「まずい」と文句を言ってました。岐阜県出身の父がつくる味噌汁は赤味噌で、「赤味噌まずい、死ね!」とか。あとは、父が干した洗濯物を見て、干すのが下手すぎるってキレたり。

清田 すげえな。その瞬間にはお父さんはいないわけだから、ワッコに言ってる感じなの?「この味噌汁まずいよねえ?」みたいな。

ワッコ そんな感じもありました。そもそも母と父はずっと冷戦状態だったので、二人の間に会話はなかったし。

清田 お母さんとワッコの関係はどんな感じなの?

ワッコ 良好だったことはないですね……。わたしが知っている母はこれまでに何段階か形態変化してまして、今は第三形態なんです。

森田 ポケモンみたいだね……。

ワッコ そんなかわいいもんじゃないですよ。今の第三形態は「60代引きこもり」です。一応説明しておくと、働いていて父にブチ切れてたのが第一形態、心を病み始めたのが第二形態、今の引きこもりが第三形態です。

清田 なるほど……なかなかに深刻な状況だね。

ワッコ どの時期も共通して、母はいつも一人で怒り狂ってるんです。たとえば「ピアノの発表会のために可愛い服を買う親は馬鹿」とか、「成人式でレンタル着物を着てファーつけてる女は頭が悪い」とか、「小型犬を飼う女は馬鹿」とか。きわめつけに「恋愛は馬鹿がやることだ」みたいなのもあって。とにかく、世間の女の人をディスりまくる

清田 なぜそこまで全否定……。

ワッコ 「結婚式やる人は馬鹿」っていうのもありましたね。いちいちアナーキーな発言をするんですよ。

清田 もしかして……ネトウヨ?

ワッコ うちの親、ネトウヨなんですかね……。

森田 でも思想的にはレフトでしょ?

ワッコ ガシガシの左です。

清田 それとビーガンなんだっけ?

ワッコ そうなんですよ。母はメンタルと体調を崩した第二形態の時に、豆と野菜しか食べなくなりまして。そこからどんどん痩せていき、身長は173センチあるのに、今は体重30キロ台みたいです。少し前に5年ぶりに会ったんですけど、ヨギーみがやばくて片岡鶴太郎さんみたいでしたね。って、この話大丈夫ですか? みんな興味ありますかね?

森田 あるある。深刻な話ではあるけど、最終的に娘であるワッコの恋愛や結婚の話につながるはずだし。

母の奇行、戸惑うワッコ

ワッコ すこしでも楽しんでもらえるように、キャッチー目なエピソードを紹介しとこうかな。小学生のとき電車に乗っていたら、隣にいた母が股間を急にごそごそし始めて。何かと思ったら、その場でナプキンをえていたんですよ。

清田 えっ? 生理用のナプキンってこと!?

ワッコ そうです。

森田 ちょっと、情報をうまく処理できない。

清田 USEDのほうはどうなるの!?

ワッコ ユーズドナプキン(笑)。ふつうに丸めてカバンにしまってたと思います。以上、社会性がなさすぎるキャッチーなエピソードでした。

森田 ワッコの「キャッチー」の基準がわからないんだけど、すごい話だね。

ワッコ あと、わたしが高校生のときには急に「インド人になりたい」と言い始めました。

清田 え?

ワッコ そのころ母はメンタルや体調を崩して出勤できなくなっていて、それをなんとかするためにインド人になると。

森田 だからビーガンでヨギーなんだ。

ワッコ ですです。その時期は母が家にいたから彼女が食事を作ってたんですけど、すべてのメニューにクミンとかが入ってるんですよ。

森田 さすがインド人……煮込みとかにも?

ワッコ そうなんです。味噌汁にも入ってて。どう考えてもスパイスがお湯に溶けてるだけの汁なのに、それを味噌汁と言い切ってました。

清田 お母さんがディスってた赤味噌どころの話じゃないね。

ワッコ 高校生のときは母が弁当をつくってくれてたんですけど、その中身もヤバくなって。

森田 どんな感じなの!?

ワッコ 一面が草…大草原……。生のピーマンにカレー粉かけただけのがおかずで、それに玄米とか。友達に見られたら死ぬと思って、コメだけ食べて毎日弁当捨ててた時期もありました。栄養が足りてなかったのか、ひどい貧血になって通院する羽目になりましたし。

清田 草原弁当……。母親のお弁当が強烈だったという話は田房永子さんのマンガ『母がしんどい』にも出てきた。田房さんのところはおかずにスープが入ってて、蓋を開けると全体的に茶色く液状化しているというお弁当だった。しかも90%の確率でお母さんの髪の毛が入っていたみたいで。

ワッコ 田房さんのマンガを読んだとき、わかりみがすごかったです。うちは緑のぐっちゃぐちゃでした。ウインナーとか卵焼きみたいな、普通のお弁当が羨ましかったなあ。

森田 泣けてきた。

ワッコ 第二形態の時期は家の食事が毎日インド飯だったから、だんだん父も頭おかしくなりそうになっていて、二人で市販の弁当を買い食いしてました。

母と父のディスコミュニケーション

森田 そういう意味では、お父さんとは連帯感があったの?

ワッコ いや、父に対しては「お前が母をなんとかしろよ」と思ってました。子供のわたしが何を言っても母は取り合わないので。でも父は諦めの境地にいて、家では部屋に閉じこもって作曲していた。……こいつもこいつでやばいんですよ。

森田 お父さんは音楽の先生?

ワッコ いえ、数学の教師なんですけど、いつからか音楽と数学は似てるとか言い出して、自室に「コムロかな?」っていうセットをつくってました。

森田 カオスだね。

清田 お父さんのことも嫌いなの?

ワッコ 母よりはまともだなとは思うけど、好き嫌いの感情はないですね。わたしはひとりっこなのですが、小学生くらいの時から家族三人で食卓を囲んだことがない。父と母は、わたしが紙を受け渡すことでしか会話をしなかったんです。

清田 え? 紙!?

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桃山商事の恋バカ日誌

森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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コメント

lms_van 後でゆっくり読む👀 > 10ヶ月前 replyretweetfavorite

pekowatanabe 「菜食主義者」を読んで思い出したのもうひとつ。ワッコさんのお母さんの話。 https://t.co/hUCdDGDnrP 10ヶ月前 replyretweetfavorite

mame_bean_yacco 軽い気持ちで読んだらめちゃくちゃヘビーだった 10ヶ月前 replyretweetfavorite

rkrkrq 久しぶりに笑って涙出た https://t.co/ykCgNzNIpU 10ヶ月前 replyretweetfavorite