恋したら告白するもの、という呪縛をほどこう

今回、牧村さんのもとには「気になる人に告白しようかなと考える一方で、その方のある言葉が引っかかってモヤモヤしている」という方からのお悩みが届きました。そのお相手の方は、「恋人という肩書に縛られたくない」という考えなのだそう。牧村さんは、相談者さんの心に寄り添いながら、告白は必要なのか、必要だとしても、誰にとって、なぜ必要なのか?と考えていきます。


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「あなたが好きです。付き合ってください」

21世紀ニッポンの、漫画・ドラマ・映画・バレンタイン広告・あらゆる場面で見られるこのセリフ。甘美ですねえ。しかしこれ、こうも翻訳できると思いませんか。

「あなたの恋人を名乗る権利、独占的に性的関係を結ぶ権利をわたしにください。それからあなたとわたしが愛し合っているのだという確認を、言葉の上でさせてください」
(過去記事:同性への愛の告白ってどうやったの?より)

本当にこれが、必要なのか。
必要だとしても、誰にとって、なぜ必要なのか?

今回は、「好きな相手に愛の告白をしたいが、その人は恋人という肩書きに縛られたくないと言っている」というご投稿から考えていきましょう。

拝啓 牧村朝子さま 近いうちに気になる人に告白しようかなと考える一方でその方のある言葉が引っかかってモヤモヤしており、そのことについて相談したく送らせていただきました。

最近「この人のこと『好き』かもしれない」という方がいます。年が近い同性の方です。これまでは友人として会って出かけたり交流していたのですが、どんどん関わるうちにもっと相手のことが知りたい気持ちが芽生えてきたのです。

それで相手にいろんな質問をするうちに、「恋愛とかお付き合いについてどう思うか?」と聞いたところ、こんな言葉が返ってきたのです。

「恋人、という肩書きになるとある程度の感覚で会う必要があったり、恋人とはかくあるべしみたいなものに縛られそうだし、周囲に驚かれそうだから、友達くらいがちょうどいい」

この言葉に軽くショックを受けつつも、「あれ、相手の言うことはわかるのに、なんで私は勝手にショックを受けてるんだろう」「関係性は人の数だけあるし、カップルでもいろんなパターンがあることを伝えたいけど重いかな……」「そもそもオッケーもらえるわけないじゃないか」などといろんな考えが頭の中をぐるぐるしており、何故自分がこんなに戸惑ってるのか、告げようにもどう表現すべきか、と悩んでいる次第です。

まとまらない形で申し訳ありませんが、牧村さんの意見をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

(全文、改行のみ調整し掲載しました)

バッカモーン! そいつが愛だ!! (※ルパンを追う銭形警部の声で)

えっ、ちょっと、もう、やだぁ、ほんと、あなた、春ねえ!? 恋しちゃってるのね!? 頭ふわふわね!? ちょっともう一回、ご投稿を読み直してみましょうよ、落ち着いて!

「恋愛とかお付き合いについてどう思うか?」
「周囲に驚かれそうだから、友達くらいがちょうどいい」

つまりあなた、仲良くしている同性に「恋愛やお付き合いについてどう思うか」って聞いたら「周囲に驚かれそうだから友達くらいがちょうどいい」って言われたんでしょ?

それあなた、多分お相手の方ね、あなたの想い、悟ってるでしょ?

あなたたちの関係は、もうすでに始まっている。

恋愛とか友情とか同性と異性とか外から何と言おうがどうでもいい、あなたたちの関係が、あなたとその人との関係が、もう、すでに始まっている。そのことに早く気づいてください。「告白してオッケーをもらう」だなんて、あなたがスッキリするためのことにこだわらず、すでにあるあなたとその人との関係をより良いものにしていくためにどうすればいいか、それを考えてください。

しかしね、それであなた、「関係性は人の数だけあるし、カップルでもいろんなパターンがあることを伝えたい」なんておっしゃるんだから、もう、あなた自身にこそ伝わってほしいわよそれが!! なに「オッケーもらえるわけないよ(しょぼん)」だなんて、あらゆるラブストーリーで億千万回繰り返されてきたありがちな「告白→交際」ストーリーを自分自身がなぞろうとしちゃってるの? まったくもう! 本当にもう! 何があなたをそんなに縛るの!?

YES!それが国家権力!!

まじでやべえ人みたいなことを言っていますが、まじなので言います。

「愛の告白→一対一での交際→結婚→“家族”など、生涯を共にする関係の形成」

これが正しいものだとされたのは、「愛し合い共に生きることが美しいからだよ(キラキラ)」って信じるのも人の勝手なんですけど、実際ね、「近代国家をなす上で管理者にとって都合が良かったから」。これだとわたしは思うんですよ。勝手に。具体例をあげましょうか。

・誰か死んだ時にその財産を誰に継ぐのか?
・ある人とある人の間に生まれた子をどの戸籍、どの国籍に入れるのか?
・あの人の稼ぎで暮らしているこの人にどれくらい税金を納めさせるのか?

こういうことについて管理システムを組むのに、「告白→交際→結婚→家族」ルートは大変都合がいいでしょう。

そうした管理システムに知らず知らずのうちに組み込まれ、お国の偉い(顔をした)人から「LGBTばかりになったら国が滅びる」だの「女を産む機械に例えると」だの何だの言われて生きる気はわたしにはさらさらございませんで、しかるがゆえに繰り返し繰り返し申し上げておるわけです、「結婚は行政お便利パッケージ」であると。

都合よく使われるな。都合よく使え。

これを。肝に。命じてください。受動ではなく能動で生きてください。システムがあなたを管理するのではない、あなたがシステムを利用するのです。

面白い話があってね。 こないだパリの「人類博物館」行ったんですけど、すごいの。人類、地域や社会によって、例えばこんなに考え方が違うんですってよ。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

hollyhock_9 |ハッピーエンドに殺されない|牧村朝子|cakes(ケイクス) 素晴らしすぎて朝からちょっと泣いてしまった https://t.co/rEdyGDrYjg 4ヶ月前 replyretweetfavorite

shimiru_k このひと、ほんと言語化がじょうず。。 ややこしいはなしを、入りやすいことばで綴っている。 https://t.co/44LlcMbJOB 4ヶ月前 replyretweetfavorite

asamiikoma https://t.co/G9YfBlAYr7 すごい良い記事だなぁ 5ヶ月前 replyretweetfavorite

seiyoumitubati 一般的な模範解答じゃつらい時もありましょうしな 5ヶ月前 replyretweetfavorite