ラーメン屋に入っただけで、脳内経験はすぐスタートできる。

「発見する」→「疑問を持つ」→「感想や意見を持つ」→「疑問を持つ」→ この繰り返しこそが脳内経験。脳を動かすトレーニングだの、脳内データベースの拡充だの構えなくても、「脳内経験」はそれだけでとっても楽しい。必ずクセになる。人も社会も、疑問や発見や驚きを提供してくれる。いつでも、どこでも、誰でも、何に関してもできる。しかもタダだ。話題の『伝わるしくみ』から特別連載!

『伝わるしくみ』山本高史
マガジンハウス

HOW TO 脳内経験

その実践は、次のようなフローチャートをイメージするとよい。

「発見する」→「疑問を持つ」→「感想や意見を持つ」→「疑問を持つ」→ ……と いうような「考える」プロセスを持ち、それを連続させるということ。

先に書いた「まあまあなラーメン」ならば、
(発見)まあまあの割に客は入ってい るな →
(疑問)なぜだろう? →
(感想・意見)きっと場所がいいからだ。駅前の一等 地 →
(発見)家賃が高そうだ →
(疑問)その分価格にはね返っているのかな? →
(感 想・意見)確かにこの店の味玉は高い。150円 →……
気がすむまで続けてもいいし、スマホでその周辺の家賃相場を調べて展開を広げてもいいし、飽きたらやめればいいし。

ラーメン屋じゃなくても、飲食店は「脳内経験」のビギナーに向いている。そもそも食べ物というもの自体が感想や意見を促すし、接客を受けると評価したくなるもの だから。そこでの(いい/悪い)発見をきっかけに、疑問(何でこうなんだろう?) から考えを連ねることは自然な流れだ。

本や映画も根源的に感想や意見を求めている。

「読んだ→面白かった」「観た→泣けた」でやめずに、それをきっかけに「なんで面白いと思ったんだろう?」「どうしてあのシーンで泣いたんだろう?」と疑問からスタートしてみれば、必ず興味と理解が深まり、記憶に残る「経験」となる。

もし主役のカップルが美女と美男じゃなかったら、とか「脳内経験」してみるのも 面白そうだ。

「脳内経験」は、現実の「経験」がきっかけじゃなくてもできる。
(予想が一つも的中しなかった競馬予想家の日曜日の夜って、どんな感じなんだろ う?)
(5日後に世界が終わりだとわかったら、その5日間で何をするだろう?)
なんてふとした思いつきからでも「脳内経験」はスタートできる。 まるでお題を出された大喜利のようでもある。目をつぶっていても、耳を塞いでい ても、ランニングしながらでもできる。 脳に始まり脳で完結する、まさに「脳内経験」の真骨頂である。

脳を動かすトレーニングだの、脳内データベースの拡充だの構えなくても、「脳内経験」はそれだけで楽しい。人も社会も、疑問や発見や驚きを提供してくれる。必ずクセになる。いつでも、どこでも、誰でも、何に関してもできる。しかもタダだ。 ぜひ。

ホテルオークラの謎

「取るに足らない」から始まる「脳内経験」のエピ ソードを書いてみます。 (ほんとうに「取るに足らない」のですよ)

仕事で福岡によく行っていた時期があって、その 折はホテルオークラ福岡に宿泊することが多かった。 ある日チェックインを済ませエレべーターに乗ると、その最上階にPという行き先ボタン。 ホテルでPと表記するのは、きっとペントハウスじゃないか。階数も数字じゃなく そこだけアルファベットのPなのだから、きっと特別なフロアなんだろう。一度は泊まってみたいものだと思った。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
2時間でわかる 伝わるしくみ

山本高史

「しくみ」がわかれば、簡単に言葉にできる! シンプルにして究極のルールを、クリエーティブ・ディレクター/コピーライター、関西大学社会学部教授でもあるコミュニケーションのプロが、満を持して公開。今までいろいろな本を読んでも まだまだ悩み...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません