絶海の孤島、南大東島
私が南大東島を訪れるキッカケになったのは『旅立ちの島唄』という映画です。南大東島には高校がないため、子どもたちはみな高校入学を機に島を出るのが通例。島には「ボロジノ娘」という、小・中学生からなる民謡を歌うグループがあるのですが、彼女たちが中学を卒業する15の春に、島と島民に向けて「旅立ちの唄」を歌う伝統があり、前述の映画はそれを扱った作品です。
私は「せっかくならその行事が見られる時期に!」と、映画を観た翌年の2014年の3月上旬に島を訪れました。フェリーは週に1〜2便のみの運航で片道15時間かかるため、3泊4日の日程でもOKな飛行機を利用しました。1~3月はちょうどサトウキビの刈り取りが行われるため、空路でアクセスする場合は、地上に広がる緑と土色のパッチワークをお見逃しなく。この時期しか見ることができない、空の旅ならではの絶景です。
那覇空港から南北大東島間をプロペラ機が1日1往復しています
午後に島に到着すると、宿泊先のホテル「よしざと」に荷物を置いて、自転車で「星野洞」という鍾乳洞へ。営業終了5分前でしたが、受付のおじいに「まだ見られますか?」と尋ねると「行っておいで」と快諾してくれました。洞窟内は懐中電灯と首かけラジカセを借りて見学するのですが、この音声ガイドがなかなかユニークでした。
鍾乳洞は東洋一と言われるだけあって、神秘的な美しさ。ここまでの規模になるには数百万年はかかるのだそうです。南大東島では島を出る子どもたちが星野洞の中に泡盛を置き、成人式のときに飲むという習慣がありますが、洞内があまりに広いためどこに置いたのか忘れてしまう人が続出(笑)。現在は一定の場所に置くようにしているそうです。
東洋一とも言われる鍾乳洞「星野洞」。中はとても広く蒸し暑かったです
洞窟内を隅々まで歩くにはかなりの時間を要し、湿度も高いので汗だくに。外に出ると受付のおじいがやってきて「ちょっとひとりで見るのは寂しいとこだよね。おじいが一緒に行ってやっても良かったんだけど」と。確かに奥まで行くには少し心細かったので、お願いしたかったかも……と思いました。
クレーン乗船、そして旅立ちの島唄
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