前回、子どものころは想像もしていなかった「前妻と死に別れた男性の後妻」となったことをお伝えしました。今回は、どのように夫と私が知り合ったか?ということを、お伝えしていきます。
私は、夫が、「死別を経験している」ということを知らずに出会いました。
夫との出会いは、さかのぼること1年半ほど前。地元のバーで、共通の友人の紹介で知り合いました。この紹介は出会い目的ではなく、仕事がらみで友人が引き合わせてくれたものです。
そのため、最初は仕事の話題が会話の中心でした。夫がお仕事をしている業界と、私が興味のある分野が重なっていたため、話題は尽きることがありません。また夫としても、私のような若者が珍しいのか、知識や経験を惜しむことなく授けてくれました。
そんな夫が前の奥様と死別していることは、紹介してくれた友人づてに聞きました。「あの人、数年前に病気で奥さんを亡くして、いろいろ大変だったらしいよ」と。
その時の私の感想は、「こんなに親切にしてくれる方の奥さんが亡くなるなんて、本当にかわいそう!」「神様ってひどい!!」というもの。とはいえ、プライベートを詮索するのもなんなので、最初は何も知らない体を貫き、淡々と仕事の話だけをしていたのです。
前妻との美しい思い出を聞かされて
この状況が変わってきたのは、たびたび顔を合わせるようになってからのことです。
仕事のことを一通り話し終えると、夫はプライベートについて話してくれるようにもなりました。そのプライベートの大部分を占めるひとつのトピックといえば、「前妻との結婚生活」です。
夫が以前結婚をしていた女性——いわゆる「前妻」——も日本人。夫がアメリカで働いている時代に、現地の日本人が経営するバーにて偶然知り合ったそうです。
当時、前妻は現地でピアノの先生をしており、バーで何度も出会ううちに、意気投合。そして、お付き合いに至ったとか(出会いのエピソードから、なんか私と被っていますよね!?)。
お酒の入った夫は本当におしゃべりでした。出会ってから仲が深まっていくまでの過程や、前妻と初めてセックスした日のこと、結婚、そして死別にいたるまでのエピソードも超・赤裸々に話してくれるようになったのです。
当時の夫にとって、前妻と過ごした日々は、まさに人生のピーク。元気だった頃の前妻と過ごした休日の思い出や、闘病生活のこと。そして亡くなった今でも前妻の服を捨てられずにいること、月命日には奥様の好きだったお酒を傾けることがライフワークであることまでもを語ってくれました。
お断りしておきますが、私から聞き出した情報はひとつとしてありません。「そうですか、うんうん」とあいづちを打っていただけにもかかわらず、お酒に酔った夫が自ら語ってくれたのです。
正直なところ、闘病生活や、死別のエピソードを打ち明けられるたび、私は内心、「うわー重い話だな…」と、とまどいました。とはいえ、それでこの親切なおじさんの気持ちが少しでも楽になるのなら…!と、とにかく話を聞くように心掛けることにしました。
また、当時、私には長年お付き合いしていた彼氏がいたので、「まあ私の人生には関係ない話だし」と他人事のように感じていたからこそ、「ただ話を聞く相手」としての時間を過ごせたのかもしれません。
私にはハイスペ彼氏がいたけれど
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