第23回】なんとなく、スピリチュアル

梅雨が明け、猛暑日が続き、いよいよ夏本番という風情の今日このごろ。夏といえば、そう、怖い話ですよね。なぜだか頻繁に「霊感とか強そう」と言われるという岡田さん。たしかに何度か怖い思いもしているのですが、それは身近なある人物の影響ゆえで……。

 他人から驚きまじりに言われる、すごく勝手な勘違い。人間誰しも、身に覚えがあるはずだ。たとえば「えっ、そんなに大きなお子さんいらしたんですか!?」とか、「あれ、お酒飲めないんですか!?」とか。本人の実像や、鏡を見ながら自分で把握する姿と、他者から見られたときのイメージとは、時に大きく乖離しているものだ。

 間違ったイメージによる決めつけから入る会話は、何度も何度も繰り返されるうち、当人のアイデンティティまで揺るがすことがある。「学生時代に何か運動なさってましたよね?」「帰国子女って言ってませんでした?」「あれ、男性に興味ないタイプの方だと……違いましたっけ?」と何百回も訊かれると、だんだん自分でも自分のことをスポーツ万能な洋行帰りのレズビアンと思えてくるから不思議だ。いや、いずれは海外留学などもしてみたいし、もし迫られたら応じてしまう気しかしない女性もたくさんいますけど。運動はしたくない。

 そんな中、頻繁に言われるうちになんだか面白く感じてしまったのが、これ。いかにも会話がふくらみそうだと思って必死に水を向けてくる人たちに、不思議としょっちゅう出会すのだけど、まったくご期待に応えることができない。

 「岡田さんって、なんか霊感とか強そうですもんね?」
 「え? 全然ないんですか霊感? なんか意外ー! ありそうなのにー」

 ……逆に訊きたいんだけど、それ、どういう意味なの?

 ここでいう霊感とは、宗教的あるいは芸術的なニュアンスというより、いわゆる「霊能力」のことかと思われる。平たく言うと、目には見えないオバケの気配を感じ取れたり、目には見えない要素に体調を左右されやすかったり、という意味だろう。鏡に我が身を映してみると、「ああ、私にはそうした霊感ってやつが、ほとんどまったく、ないな」とわかる。

 もちろん、誰もいない場所に一人でぽつんといて無性に怖くなったり、夜中に金縛りに遭ったりすることはあるが、そんなものは、彼ら勘違いした人々が私に求めている「霊感」体験のうちに入らないだろう。それでも会話をふくらませてやるならば、一緒に育った二歳下の妹は、正真正銘「霊感の強い」子供だった。彼女に比べたら、姉の私など鈍感そのもの、霊感があるうちには入らない、というふうにも考えている。

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ハジの多い人生

岡田育

趣味に対する熱量の高いツイートと時事に対する冷静な視点でのツイートを自在に繰り出すWEB系文化系女子okadaicこと岡田育。 普通に生きているつもりなのに「普通じゃない」と言われ、食うに困らず生きているのに「不幸な女(ひと)」と言わ...もっと読む

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コメント

okadaic 続)とか言いながらステマを貼るわけですが。一方で記事総量は一年経たずに2286本にもなってて、Huluのメニュー画面にも似た眩暈を起こすよねー。 5年弱前 replyretweetfavorite

chomast 夜中に読むものじゃなかった…どうしよう怖い。 5年弱前 replyretweetfavorite

yanabo 霊感ゼロを自認する岡田育さんが、ぞっとした瞬間。それは霊感少女である妹がとある道を通りたくない、とダダをこねたときに言われたこのひとことでした。「怖いのは、道なんかじゃないよ……!」酷暑に効くひんやりとしたお話。https://t.co/Al4aR9lsSe 5年弱前 replyretweetfavorite

longroofitter トトロの見えないサツキの話(´・ω・`) 5年弱前 replyretweetfavorite