ライフスタイルの変化は「もやもや」改善のチャンス
小さな「もやもや」をなくしていくにつれ、私の身の回りから、どんどん「もの」が減っていきました。家に人を招くと、「ものが少ないですね」と驚かれることもしばしば。「断捨離」や「ミニマルライフ」が注目を集め、書店では片づけに関する本がたくさん並んでいますが、特にこうした方向を目指してきたわけではありません。「あると便利かも」と買ってみたものの、あまり使わなかったものを「もやもや」がきっかけで捨てたり、「ほかのもので代用できるかも」ということに気づいて取捨選択したりした結果、「もの」自体が減っていっただけなのです。
また、引っ越しもいい機会になりました。皆さんも経験があると思いますが、引っ越しの時はたくさんのものを処分しますよね。転居先が今よりコンパクトな住まいならなおさらです。物理的に入らないとなると、ものを減らすしかありません。
私は夫と二人暮らしですが、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに軽井沢に2軒目の家を借りることにしました。そして、いろんなご縁があって2014年夏から福井に通って陶芸に取り組むようになりました。翌年にはアトリエを構え、今では東京、軽井沢、福井での3拠点生活を送り、1か月のうち東京に2週間、軽井沢に1週間弱、福井に1週間強という割合で滞在しています。
東京では、数年前まで今より広い家に住んでいました。収納スペースも多かったため、ものが多くてもあまり気になりませんでした。でも次第にその家に対して「もやもや」が増えてきました。広いこと、閑静な住宅街であることがその家を選んだ理由でしたが、もっと便利な場所にある、コンパクトな住まいの方が、3拠点生活を行うにはマッチしているのではないかと思うようになったのです。ライフスタイルの変化によって、新たにわき上がった「もやもや」に気づき、引っ越しという決断をもたらしたのは、まさに「もやもや」が加速度的に自分を変えていったいい例だと思うのです。
人は人生を重ねるにつれ、いろんな変化を迎えます。就職、結婚、出産、離婚などは大きな節目ですし、「ペットを飼い始めた」「山登りにハマり、いろんな道具をそろえて週末は登山に行くようになった」といったことも変化のひとつ。これらの変化は「もやもや」に気づいて改善する大きなチャンス! 「ペットがトイレと間違っておしっこをするから、じゅうたんをやめてみよう」とか、「週末は山登りで家にいないことが多いから、いっそ会社に近くて狭い家に引っ越した方がいいんじゃないか」など、新しい工夫を考えている時はワクワクするものです。
私を変えてくれたのは「もの」ではなかった
私にとってもうひとつ、大きく減らしたものがあります。それはクローゼットの中にぎっしりと詰まった服です。小さな頃からファッションが大好きで、学生の頃は限られたお金をやりくりし、工夫をしてファッションを楽しんでいました。社会人になって、自分が稼いだお金で自由に洋服を買えるようになると、ものすごい勢いでファッションにお金をかけるようになりました。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。