今でこそ私は、資産形成の観点でモノを見るという考えを持っていますが、昔からそのような考えを持てていたわけではありません。
教育には熱心であるけれど、お金の話は子どもがするべきではないというような、ごくごく一般的なサラリーマン家庭で私は育ちました。
そんな私が、自分で資産をコントロールする必要性を感じたのは、社会人になってからの経験を通してです。
私の就職活動時期は、就職氷河期といわれる中でも最悪レベルで、大学求人倍率0・99の時代でした。
いくらよい大学を卒業しても、希望通りの就職ができなかった人がたくさんいたのです。
そんな中、私は運よく一流企業といわれる会社に入社しましたが、当時、社内では一定年齢の人を対象に早期退職優遇制度が設けられており、退職したくない部長級の社員が受け入れ先を探し回っているのを目の当たりにしました。
よい大学を出ても就職できない。
よい会社に入っても職を失うことがある。
私は、学歴や会社名という肩書きに依存することほど、信用できないことはないと実感しました。
そう気づいた瞬間から、「将来のために貯金する」という考えをやめ、自分の人生を豊かにするモノにお金を使うように意識を変えました。
その当時は、月給20万円でしたが、まず自分の意識を変えることから始めました。
自分の考え方を変え、買うものを変えたら、価値観も変わり、仕事への取り組み方も変わりました。
そうして、自分がほしいものや、やりたいことが明確になると、性格まで積極的になり、以前なら「無理だろう」とあきらめてしまったことも「やるだけやってみよう」という感覚に変わっていきました。
さらに、そうして成し遂げたことの先には、自分という資産価値が上がるのだという自覚が芽生えてきたのです。
そうなると、不思議なことに人生が自分の好きな方向にどんどん流れていくのです。
例えば、ソニーからアナリストに転職したとき。
「畑違いの業界へのキャリアチェンジなんて無理かな」と自分でも半ばあきらめながら転職活動を続けていたものの、アナリストになったら、実は同じ企業出身の人もいて、自分で自分の限界をつくっていただけなのがよく分かりました。
おまけに、アナリストとして、台湾人の上司の下で、思いがけず台湾流の資産形成を教わることができました。
それから、出産したとき。
自分がワーキングマザーとして働けるかどうか不安でしたが、子どもを預けた保育園でたくさんのワーキングマザーと出会い、さまざまなキャリアの人が仕事と子育てを両立しているという事実を知り、勇気をもらいました。
さまざまな業界の人と 〝ママ友〟として出会えたことで私の世界が広がりました。
たかがお金ですが、されどお金なのです。
「お金の流れを変えれば、人生が変わる」とは、まさにこういうことだと思います。
資産形成マインドを持って当事者意識でお金のことを考えると、より明るい気持ちで人生を送れるようになります。