Rule
急いでローンを返さず、
余剰資金で資産を分散することも考えよう
住宅ローンには利子を払うデメリットはあるものの、住宅ローン減税や団信を考慮すると、ローンを持つことも悪いことではないというのが分かっていただけたのではないでしょうか。
それでも、長期の固定金利でなく、変動金利や数年の固定金利でローンを組んでいる人の中には、将来の金利上昇のリスクを取りたくないから早く完済したいという人もいると思います。
また、繰り上げ返済をしないと定年後も返済し続けなければならないので、それは避けたいという人もいるでしょう。
住宅ローンのメリットもデメリットも理解した上での判断であれば、繰り上げ返済もよいと思います。
けれども、利子は、今の生活の負担を減らすための手数料でもあります。
生活を引き締めすぎるほどに引き締めて、住宅ローンの完済を焦る必要はありません。
また、余剰資金を不動産の返済に集中的に充てて繰り上げ返済をすると、借金は減っていきますが、資産が不動産だけという状況になります。
そこで、もし余剰資金をほかの資産購入に充てれば、資産を分散することになり、資産価値の変動リスクを分散することが可能になるのです。
自分のスキルアップや子どもの将来のための学費など、無形の資産に充ててもよいですし、家具など有形資産の購入に充てるというのもよいでしょう。
決められた返済額を地道に返していくことは義務ですが、それ以上の額を返済して早めの完済を目指すのに夢中になり、家の中の家具はとりあえずの消耗品、子どもの習いごとも辞めさせて、というのでは本末転倒です。
不動産という資産を持っただけで、ほかの部分で結局、無駄遣いをしたり人生の喜びの機会を失ったりしているということになります。
家族構成や定年退職の時期、ライフスタイルなど、ローン返済に関わる事情は、人それぞれです。
むやみやたらに完済を目指すのでなく、自分の生活に合ったローン返済をするのがよいと思います。
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