Rule
持ち家の方が資産形成にもなるし、
メリットも多い
家を買う——。
これは、資産形成に興味のない人でも、実家から独立したとき、ある年齢になったとき、結婚したときなどに、一度は考えることなのではないでしょうか。
ご存じのように、不動産の購入には、価格下落のリスクがあります。
けれども、これは投資目的の不動産購入ではなく、あくまで自分が住む家のことなので、価格下落が起きたとしても売却するわけではなく、含み損失(時価が、購入時の価格を下回っているときの損失)がダイレクトに生活に影響することはありません。
また、借家の場合にかかる家賃が発生しないので、急激な価格下落が起きないのであれば、家賃出費と相殺できるともいえます。
逆に、家を買わずに借りるという選択は、リスクを取っているといえます。
これまで20年以上デフレが続いていたので、家賃が高騰していくという経験はなかったと思いますが、今後は、日本人の給与所得が上昇しなくても、世界のインフレ(物価上昇)の影響で、外国製品や外国人主導でのインフレが起きることは十分に考えられます(「インフレしている世界、デフレしている日本」を参照)。
そうなれば、いま現在、国内ホテルの値段が上がっているように、家賃の値上がりも考えられます。
そのときに、お給料が上がっていなければ、住む家はグレードダウンするしかありません。
家賃が高騰するということは、バブル崩壊後の日本ではあまり想像しにくいと思いますが、世界では、そういった状況が実際に起きています。
例えば、1990年代後半から2000年初め、私はITバブルの中心であった北カリフォルニアのバークレーという学生街に住んでいましたが、そこでは急激な物価上昇で、同じアパートの同じ間取りでも、大学1年生の家賃は、4年前に契約した大学4年生より断然高いというインフレによる家賃高騰が起きていました。
このような急激な物価上昇が近い将来必ず日本で起きるとはいえませんが、だからといって借家の方がよいというのは過去の事実にすぎないのです。
確かに今後もさらにデフレが続くようであれば、持ち家を持つより借家の方が、住む家にかかるトータルコストは低いでしょう。
しかし、私が懸念しているように将来的に給料が上がらなくても物価が上がっていくとなれば、家を買っておく方が金銭的にはお得でしょう。
結局、将来をどう見て、どう行動するかというあなたの判断が必要なのです。
これまで、お金を使って資産形成することを伝えてきましたが、資産の代表格の不動産を住む家として保有しておけば、住みながら資産形成できるだけでなく、住宅ローンという特殊なローンのおかげで受けられる節税・節約に関するメリットもあります。
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