生きづらさの正体を手放す  

マウンティング、SNS…。やっかいな人間関係のかわし方

著書『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)が人気の渡辺由佳里さんと『部屋が片づかない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの「もやもや」整理術』(扶桑社)を刊行した松尾たいこさん。日々の人間関係において、マウンティングされたり、嫌なことを言われたりと、もやもやを感じたとき、どのように対処すれば自分のダメージが少なくてすむのでしょうか?やっかいな人間関係のかわし方を聞きました。

すべての人に好かれなくていい

松尾たいこ(以下、松尾) 由佳里さんと知り合ったきっかけはツイッターですが、SNSでもやもやした経験はありますか?

渡辺由佳里(以下、渡辺) ありますあります(笑)。たとえばcakesで記事を書くたびにいろんな意見や感想のリプライが来ますが、なかには当然「ん?」と思うようなものもあります。そういう時は、相手のプロフィールとタイムラインを見てみて、「自分とは違う意見だけど、根本的にはいい人なんだろうな」と思える人だったら、「私はこういう考え方です」と真摯に対応します。そうでない相手の場合は即ブロック。それが一番。

松尾 すべての人に悪口ばかりを送りつけている人ってたくさんいますよね。

渡辺 いますね。そういう人を見かけると、「あまりいい人生を送っていないんだな」と思います。でも、攻撃的な人や失礼な人に同情して相手をするほど私は優しくないし、自分の時間の無駄なので静かにブロックさせていただいています。

松尾 そういういいがかり的なリプライはけっこう来ますか?

渡辺 来ますね。でも、私が相手をしなければ他のフォロワーさんには見えないので、「申し訳ないんですけど、私の人生にあなたは存在しないことになっていただけますか」という気持ちでブロックしています。もちろん、最初のうちはすごく嫌でした。でもそういうリプライはたくさん来るし、いちいち気にしていても仕方ない。「みんなに好かれたい」という気持ちは誰もが持っていると思うんです。でも、すべての人に好かれるなんてことはありえないので、「自分にとって大切な人だけに好かれていればいいや」と思うようになりました。ただ、自分が大切にしている人たちとSNSで意見が合わなかった時や「この人が流している情報は間違っている」と思う場合は対応が難しいですね。

松尾 相手のプライドもあるので難しいですよね。年齢を重ねると経験値も上がりますし。

渡辺 知り合いの場合は、直接メッセージを送って「おっしゃっていることはわかるのですが、事実はこうなんです」と伝えたことがあります。自己防衛的な返事がきて、ちょっと嫌な気持ちになったことも……。「黙っていたほうがよかったのかな」って。

松尾 わかります。

渡辺 タイポとかの細かいことは別として、私は重要なミスをこっそり教えてくださるのは嬉しいです。わたしの記事の計算ミスをフェイスブックのメッセンジャーで指摘してくれた方がいたのですが、それは大いに感謝しました。「ありがとうございます。恥をかくところでした。これからも何か間違いがあればどんどん指摘してください!」と。

松尾 誰にでも見えるリプライではなく、メッセージで直接指摘してくれるという点で人柄がわかりますよね。

渡辺 そうですよね。真摯な方でした。DMやメッセンジャーではなく直接リプライが来た場合は、皆さんに見える形でお返事しています。こちらの対応によって、いい方向にいくか悪い方向にいくかが決まりますよね。真摯な方の場合には、相手の方に「言ってあげてよかった」と思ってもらえる方向に持っていくことを心がけてます。でも、これは歳をとって学んだことですよ(笑)。

松尾 失敗しないと学べませんよね。私もSNSで何か指摘されたら、最初に「ありがとうございます」と言ってから返事をするなど、相手が嫌な気持ちにならないための気遣いも大事かなと思っています。


マウンティングには反応しない

渡辺 うちの夫との会話でもそうなんですけど、意見が対立したときには「しつこく言わない」「時間をおく」ということは心がけていますね。

松尾 SNSは脊椎反射をしてしまいがちなので、それは大事ですよね。由佳里さんはマウンティングされたことはありますか?

渡辺 それはもう、すごくたくさんあります(笑)。軽い笑いの話題なのに「それはこうすればいいのに」みたいなマジなリプライとか。英語表現や洋書のレビュー、時事問題でも、「教えてあげたい」感じでリプライしてくる人もけっこういます。でも、既に私が別の場所で書いていることだったり、教えてくださった英語や翻訳が間違っていることが多いんですが(笑)。でも、そういったリプライがきてもいちいち対応しないようにしています。「この人は言いたい性格なんだろうな」と思うだけです。

松尾 私も、「あれ?」と思うリプライが来たら反応しません。

渡辺 無反応が一番。相手は多分かまってほしいだけなんだと思います。こちらが反応してあげるのは相手にとっての優しさでもあるので。「申し訳ないけれど、わたしはあなたにかまってあげられるほど優しくないので」と思うと、もやもやしない。反応してあげるのは相手の思うツボなので、「思うツボになってあげなかった」と思うだけでも心が安らぎますよ(笑)。

松尾 ほんとうにそうですよね(笑)。

渡辺 SNSに限らず、リアルでも昔は「ちょっと言い過ぎちゃったかな」「嫌なこと言っちゃったかな」と夜中にもやもやと考えていたこともありました。そういう人だった時代もあるんです(笑)。でも、「言ってしまったことは仕方がない」「次の日は新しい日」と思うようになったんです。「次に会った時に誠実に向き合えばいい」「それで嫌われたらそこまでのご縁だったんだ」と。

松尾 引きずらず、ご縁を大事にということですよね。起きてしまったことも、自分がどう受け取るか。「我慢できて、私大人になったなー」とか。

渡辺 「私偉いじゃん!」ってね。嫌な事もあるけれど、それでもSNSがもたらすメリットはとても大きいです。

松尾 こうやってお会いできたのもSNSのおかげですもんね。


履歴書よりSNSに人が出る

渡辺 SNSがあったからこそ、たくさんのすごい方たちに出会う事が出来て、SNSにはほんとうに感謝しかありません。ツイッターは、2008年くらいに夫から「君もやったほうがいいよ」と勧められていたんですけど、「私はものを書いているだけの人間だから、そんなのは必要ないのよ」ってずっと抵抗していたんです。でも、とりあえずやってみたらいろんな人とつながって、世界がとても広がった。勧めてくれた夫にとても感謝しています。

松尾 ツイッターは性格がもろに出ますよね。140文字だからこそばれる。ツイッターで気が合うなと思う人は、実際に会っても仲良くなりますもん。

渡辺 ほんとそうですよね。私は日本を離れたのがずいぶん前なので、ツイッターで知り合った方は、あとから「すごい人だったんだ」と知ることが多いです。日本の現状があまりわからなくて。

松尾 リアルで会うと肩書きや外見、年齢などで線引きしてしまうこともあるけれど、ツイッターだとそれがないですよね。性別もわからなかったりしますし。

渡辺 猫アイコンの人とかね(笑)。

松尾 ツイッターだと、相手に対する勝手な思い込みがないから、フラットに付き合えますよね。フェイスブックでつながっている人は知り合いだらけなので、逆に愚痴が言えない。漠然とした不満はツイッターでポロッと言ってしまうこともありますが、夜中に消すことも。

渡辺 私もフェイスブックは出版関係者などの知り合いばかりです。

松尾 最近はフェイスブック経由で仕事が来たり、「お会いしたいです」とメッセージが来ることもあります。以前はどちらかというと人と会うのが得意ではなかったけれど、SNSで人柄がわかるから、「この人だったら会ってみたい」などと思えるようになりました。

渡辺 下手な履歴書よりもSNSを見たほうが、その人の行動や考え方がわかりますよね。

松尾 「◯◯大学卒、◯◯入社」みたいな経歴を見てもその人がどんな人なのかはまったくわからないけど、初めてメッセージをくれた人も、フェイスブックを見るとどんな人なのかがすぐわかる。嘘のつけない時代だけに、匿名だからといって好き放題いう人には絶対いつか天罰がくだると思います。

渡辺 SNSの神様からね(笑)。私は、自分自身のために暗い気持ちは持たないほうがいいと思っているんです。嫌なことを言い続けているとだんだん自分の心まで暗くなるでしょう? ネガティブなことを言わないようにしているのは、自分のためなんです。


嫌な人間関係に引きずられないために

松尾 批判するだけの人にはなりたくないですよね。何書いても批判する人がいますけど、批判した後に自分の意見まで言うならまだいい。でも、単に「ムカつく」とか、ただ批判するだけで終わりという人も多いですよね。

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生きづらさの正体を手放す  

渡辺由佳里 /梅津有希子 /松尾たいこ

アメリカ在住のエッセイストであり、cakesの連載「アメリカはいつも夢見ている」や著書『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)が好評の渡辺由佳里さんと、『部屋が片付かない、家事が回らない、人間関係がうまくいかない 暮らしの「もやもや...もっと読む

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