三宅香帆の文学レポートvol.1
今、K-POPならぬK-文学が流行っている。
という文言を聞いたこと、ありますか。ちなみにわたしはあります。巷ではどーやら「韓国文学」が流行っているらしい、と。
たしかに韓国映画って欧米のものとはちがったおもしろさがあるし、K-POPも流行ってるし、やっぱり韓国の文化ってブームなのかな……と思いつつ、韓国文学を手に取ることが増えた。
たとえば『82年生まれのキム・ジヨン』チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳(筑摩書房)。カルチャーの流行に敏感な人なら、名前を聞いたことがあるかもしれない。韓国でベストセラー、最近日本でも翻訳されベストセラー。韓国に生まれたとある女性が、一生のなかでいくつジェンダーの不平等を感じるか——。
この小説を読むのは、世界のしんどさを見つける作業のようで胸が痛かった。だけどこの小説に共感してすくわれる人が、韓国にも日本にもあまりにも多いことに、もっと胸が痛い。
ほかにも、少し前だけど『カステラ』パク・ミンギュ著、斎藤真理子訳(クレイン)が第一回日本翻訳大賞を受賞したり、さらに『菜食主義者』ハン・ガン著、きむ ふな訳(cuon)がイギリスの文学賞であるブッカー国際賞を受賞したことも話題になった。今後も韓国文学の台頭はこれからも続いていくんだろう。
……ってお天気予報みたいなテンションで言っちゃうけど、でも本当にそう思う。だって韓国文学ってなんだか日本とも欧米とも違ったテンションの「圧」みたいなものが今ある。その勢いというか強さっつったら、すごいんやで。
まじで韓国文学の時代、キてる。やばい。あなたも読むべき。
「えっ韓国文学そんなに流行るの? うーん読んだことねえな~~でもあんまり文庫本にもなってないし、ハードカバーいきなり買って失敗したらこえーな~~~」
はい、そんな感想を漏らしたそこのあなた。
まるで数か月前のわたし! ハードカバー高いよね! わかる。
でもハードカバーも、映画一回分と考えれば別に高くないはずだ。そんなあなたに向けて、今日はおすすめ韓国文学をご紹介しますよ!
それは『野蛮なアリスさん』ファン・ジョンウン著、斎藤真理子訳(河出書房新社)という本。
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