IKKOの動画ばかり見ている理由

今回の「ワダアキ考」で取り上げるのは、美容家でタレントのIKKOです。テレビの内側の人のような気持ちでテレビを見ることが当たり前になっている昨今、それを当然のこととして視聴者に押し付けてくるTV番組も増えました。そんな中で武田砂鉄さんが感じた、IKKOの稀有な立ち振る舞いとは?

「ここ、編集で切っといてー」「どうせ使われないんでしょ!」

もちろん、『あいのり』と『テラスハウス』を欠かさず見ているが、その双方の番組で、参加メンバーと撮影隊との距離感が話題になっていた。『あいのり』では、長旅の末に辿りついたキャンプ場で、スタッフと参加メンバーの女性が揉め始め、翌日スタッフが謝罪すると、その女性が「この番組って、スタッフさんがいないものとして、カメラマンさんがおらんもんとして、わたしたちは生活せないかんわけであって……」と、番組のスタンスを理解した上での自分たちのあり方を述べつつ、スタッフの行動のマズさを指摘していた。一方、『テラスハウス』には、割と長いことテラスハウスに住み、いつも自分の都合の良いように物事を動かそうとしていると、スタジオで見ている芸能人からも煙たがられている女性がいる。その女性が、男性とイチャつきながら映画を鑑賞したシーンを見て、トリンドル玲奈が「(この模様を撮らせることが)映像的にアリなんじゃないかな、って思ってやってるのかなって……」と指摘、スタジオが沸く場面があった。

この番組の作り方からして、スタッフの存在を匂わせるべきではないでしょう、と提言する参加メンバー。「映像的にアリ」と判断したからそうしたのではないか、と参加メンバーの行動を分析するタレント。なんだか逆転現象が起きている。『月曜から夜ふかし』などのバラエティ番組で、繁華街に繰り出して一般人に話を聞くと、テンション高めに「ここ、編集で切っといてー」とか「どうせ使われないんでしょ!」などと言い、その様子をあえて使うことで笑いを作り出すシーンがある。ものすごくピンポイントで恐縮ながら、このシーンを見かけるとなんだか体が痒くなる。それを言うことで使われやすくなると知っている感じと、実際にそれを使っている感じのコラボレーション。

参加者が撮られ方に言及する

そんなことを感じたのは、ちょうど、社会学者・太田省一の新刊『テレビ社会ニッポン 自作自演と視聴者』を読んでいたから。太田は、テレビとは自作自演的なものであり、「自分でやったことなのに素知らぬふりをする」傾向がある、とする。当初は出演者だけが、初めて気づいたふりをしたり、お約束通りに驚いたりしていたのに、今や、視聴者までもがその自作自演の片棒を担いでいるという。

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

consaba 「もちろん、『あいのり』と『テラスハウス』を欠かさず見ているが、その双方の番組で、参加メンバーと撮影隊との距離感が話題になっていた。」 4ヶ月前 replyretweetfavorite